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技術コラム

【流体】過渡熱測定と構造関数 その4

2026年02月13日

半導体パッケージの熱的な評価ポイントはジャンクション温度Tjですが、直接測定することはできません。半導体パッケージを構成する材料の熱抵抗と熱容量が分かれば、詳細モデル、あるいはRCモデルのような形で扱うことができ、Tjの過渡応答も計算できます。

本連載では、半導体パッケージの熱抵抗と熱容量を推定する技術である「過渡熱測定」と「構造関数」について説明していきます。

第1回は「過渡熱測定」と「構造関数」の概要を紹介しました。
第2回は「過渡熱測定」の原理について紹介しました。
第3回は「過渡熱測定」の手順のStep1として、温度係数(”K-factor”)を説明しました。
第4回は「過渡熱測定」の手順のうち、ダイオードの順方向電圧(VF)測定結果から構造関数を導出する流れ(Step2~4)を説明します。



過渡熱測定の手順

Step1.K-factorの測定
Step2.ダイオードの順方向電圧(VF)測定
Step3.K-factorでジャンクション温度Tjの過渡変化に変換
Step4.数学演算により構造関数に変換


Step1.K-factorの測定

第3回を参照


Step2.ダイオードの順方向電圧(VF)測定 (図1)

Step3.K-factorでジャンクション温度Tjの過渡変化に変換

まずは、素子にセンシング電流を流し、その際のダイオードの順方向電圧(VF)を測定します。
JESD51-14では、この過渡熱測定の方法として、Static法とDynamic法の2つが規格となっています。
ここではStatic法の説明をします。


Static法の手順(図1)
1. 素子に一定の加熱電流(電力)を加えて温度上昇させ、温度が定常になるまで待ちます。
2. 加熱電流を瞬間的にセンシング電流に切り替えます。
3. ダイオードの順方向電圧(VF)を連続データとして取得します。
4. Step1で取得したK-factorを用いて、温度変化に変換します。



図1:Static法の説明


(横軸をlogで表記しているのは、この後の数学演算で対数時間を用いるためです。)


Step4.数学演算により構造関数に変換

得られた温度変化のデータを素子内部構造の情報(熱抵抗R、熱容量C)へと変換します。手順は以下の通りです。

1. 熱インピーダンスZthの算出
測定したジャンクションの温度変化ΔTjを投入電力Pで割り、素子の熱インピーダンスZthを算出します

2. 逆畳み込みによる時定数スペクトルの算出
Zthを対数時間logtで微分し、逆畳み込みを行い、時定数スペクトルR(τ)を算出します。

3. Foster回路の構築
時定数スペクトルR(τ)の各ピークから、熱抵抗Rと熱容量Cのペアを特定し、それらが直列に並んだFoster(フォスター)回路を作成します(図2)。これは数学的には温度変化を再現できる回路モデルですが、素子の実際の内部構造とは一致していません。


図2:Foster回路の模式図


4. Foster-Cauer変換
Foster回路をジャンクションから順に伝熱する形のCauer(カウアー)回路へ変換します(図3)。この変換によって、回路上の熱抵抗Rと熱容量Cが、ジャンクション、ダイ、はんだ、基板といった形で、内部構造に対応した順番に並びます。




図3:Cauer回路の模式図

5. 構造関数のプロット
Cauer回路の各要素(R, C)をジャンクションから順に足し合わせ、グラフとしてプロットします(図4)。




図4:構造関数のプロット

ここで、
横軸R:ジャンクションからの累積の熱抵抗
縦軸C:熱源からの累積の熱容量
となります。


以上の手順で、ダイオードの順方向電圧(VF)測定結果から構造関数を導出することができます。


次回

次回は構造関数を用いた代表的な熱解析について説明します。

[From K.Sugahara]

参考文献

1) 国峰尚樹, 電子機器の熱流体解析入門, 日刊工業新聞社
2) JESD51-14, “Transient Dual Interface Test Method for the Measurement of the Thermal Resistance Junction to Case of Semiconductor Devices with Heat Flow Through a Single Path”, November 2010


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