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技術コラム

【流体】過渡熱測定と構造関数 その3

2025年12月08日

半導体パッケージの熱的な評価ポイントはジャンクション温度Tjですが、直接測定することはできません。半導体パッケージを構成する材料の熱抵抗と熱容量が分かれば、詳細モデル、あるいはRCモデルのような形で扱うことができ、Tjの過渡応答も計算できます。

本連載では、半導体パッケージの熱抵抗と熱容量を推定する技術である「過渡熱測定」と「構造関数」について説明していきます。

第1回は「過渡熱測定」と「構造関数」の概要を紹介しました。
第2回は「過渡熱測定」の原理について紹介しました。
第3回は「過渡熱測定」の手順のStep1として、温度係数(”K-factor”)を説明します。



過渡熱測定の手順

過渡熱測定で半導体パッケージの熱抵抗と熱容量を推定する技術のうち、広く使われている規格”JESD51-14”に則って説明します2)。

過渡熱測定では、ダイオードの順方向電圧(VF)を連続的にセンシングすることで、ジャンクション温度Tjの過渡変化を取得することができます。

手順は大きく以下のようなStepになります。順番に説明していきます。

Step1.K-factorの測定
Step2.ダイオードの順方向電圧(VF)測定
Step3.K-factorでジャンクション温度Tjの過渡変化に変換
Step4.数学演算により構造関数に変換


Step1.K-factorの算出方法 (図1)

K-factor[V/℃]とは、ダイオードの順方向電圧(VF)と、ジャンクション温度Tjの関係のことです。

 ・ K-factor取得時の準備:
  o 測定対象の半導体素子全体が均一な温度になるように、温度管理された環境下(恒温槽やコールドプレート上)に置きます。このとき、環境温度とジャンクション温度Tjは理想的には等しくなります。
  o 半導体素子のダイオードにセンシング電流(一定の微小電流)を流します。

 ・ 電圧の測定:
  o 環境温度を変化させながら、ダイオードの順方向電圧VFを測定します。

 ・ K-factorの特定:
  o 環境温度と順方向電圧(VF)の関係をグラフ化すると、一次関数のような形で表されます。
  o このグラフの傾きがK-factor(ΔT/ΔVF [V/℃])となります。
  o この傾きは一般的に負の値(例:−2 mV/℃)になります。



図1:K-factorの取得方法


次回

次回は、ダイオードの順方向電圧(VF)測定結果から構造関数を導出する流れ(Step2~4)を説明します。

[From K.Sugahara]

参考文献

1) 国峰尚樹, 電子機器の熱流体解析入門, 日刊工業新聞社
2) JESD51-14, “Transient Dual Interface Test Method for the Measurement of the Thermal Resistance Junction to Case of Semiconductor Devices with Heat Flow Through a Single Path”, November 2010

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