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技術コラム

【粒子法】Vol.47 石の水切り

2026年02月13日

はじめに

皆さんは河原で「水切り」に熱中したことはありませんか? 大きすぎず、小さすぎない平らな石を選び抜き、手首のスナップを利かせて水面ギリギリへと投げる。上手な人が投げれば、石はまるで魔法のように何度も水面を跳ね、波紋を残して遠くまで進んでいきます。

一見シンプルな遊びですが、この現象は「物体と流体の複雑な相互作用」が支配する、流体力学における非常に奥深いテーマです。石が水面に衝突する瞬間の角度、速度、回転が、その後の挙動を大きく左右します。

今回は「石の回転がバウンドの継続性にどのような影響を与えるのか」を、検証してみました。


解析対象・解析条件





解析目的

経験則として知られている「回転をかけるとよく跳ねる」という現象を、アニメーション結果と、石の速度・回転の時刻歴データから分析していきます。


解析ケース

石のZ軸周りの回転の有無を比較します。
 ケース①:回転数0 rpm
 ケース②:回転数120 rpm


結果アニメーション

● 斜視図
左:回転数0rpm、右:回転数120rpmの斜視図の結果アニメーションを示します。



● 側面・上面
上:回転数0rpm、下:回転数120rpmの側面・上面の結果アニメーションを示します。





結果評価

● 石の速度
石の速度の時系列データを示します。上からX,Y,Zの速度を示しています。




・X方向(横ブレ)
バウンドの瞬間、初速度の数%程度のわずかな横滑りが発生します。X方向は着水後は正の値、落下時に負の値を繰り返す。

・Y方向(進行方向)
初速度6m/sで投射。水面に触れるたびにブレーキがかかり、速度が段階的に低下していく様子がわかります。
 ・回転なし(0 rpm): 0.23秒(2回目の着水)で大幅に減速し、0.50秒にはほぼ止まってしまいます。
 ・回転あり(120 rpm): 粘り強く跳ね続け、0.71秒(4回目の着水)まで速度を維持。0.95秒で停止しました。

・Z方向(上下)
着水時に正の値(浮上)、落下時に負の値をとるサインカーブのような挙動を繰り返します。


● 石の回転数
石の速度の時系列データを示します。上からX,Y,Zの速度を示しています。




・回転数 0 rpm(スピンなし)
2回目の着水(0.21秒)以降に「X軸周り」の大きな回転が発生しています。これは石が水面に叩きつけられ、前のめりに転がるような不安定な動きが発生しています。

・回転数 120 rpm(Z軸周り)
着水時の姿勢の乱れ(X, Y軸のブレ)すが、安定して跳ね続けていることがわかります。Y方向の速度は、4回目の着水(0.72~0.92秒)にかけて緩やかに減速し停止します。


まとめ

今回のシミュレーションから、「初期回転を与えることでジャイロ効果が働き、着水時の姿勢が安定してバウンド回数が増える」ことが示されました。今回は石の初期角度を 5°にしましたが、この角度(迎角)を少し変えるだけでも、水から受ける揚力が変わり、さらなる記録更新が狙えるかもしれません。


[From H. Yazawa]


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