今回のコラムでは、前回の「接触圧力(法線方向)」に引き続き、接触面における「摩擦(接線方向)」の定式化についてご紹介します。 特に、教科書的な「クーロン摩擦」をそのまま計算しようとすると何が起きるのか、そしてそれを「ペナルティ法」でどのように解決しているのか、という点にフォーカスしてみましょう。
COLUMN
技術コラム
【構造】接触解析の定式化 -ペナルティ法(摩擦)
前回の振り返り
前回の記事では、法線方向の接触(めり込み)に対して、仮想的なバネ定数を与えるペナルティ法を紹介しました。今回はその「摩擦」版のお話です。
理想的な「クーロン摩擦」の定式化
まずは、私たちが物理の授業で習う古典的な「クーロン摩擦」の定義をおさらいしましょう。
接触面における接線方向の力Fτを、法線方向の力(接触圧力)Fnを、摩擦係数をμとすると、以下のような条件式で表されます。
1. 固着状態 (Stick):

この時、相対速度(滑り)vrelはゼロです。

2. 滑り状態 (Slip):

摩擦力が最大静止摩擦力に達し、物体は動き出します。この時、摩擦力は運動方向と逆向きに働きます。
この定式化はシンプルですが、数値解析(FEM)の視点で見ると非常に厄介な性質を持っています。
それは、「速度ゼロから非ゼロへと状態が不連続に切り替わる」という点です。
この「不連続性」は、計算の収束を妨げる大きな要因となります。
ペナルティ法による定式化(正則化)
そこで、解析ソフトではこの不連続な挙動を滑らかにするために、ペナルティ法を用いて摩擦モデルを「正則化」します。
具体的には、「固着状態であっても、完全に止まっているのではなく、バネのようにわずかに変形(弾性すべり)しながら耐えている」と仮定するのです。
この仮定を入れると、摩擦力 Fτ は相対変位 μslipの関数として、以下のように等式で表現できるようになります。
1. 固着領域(Elastic Stick)
摩擦力は、仮想的な固着剛性(バネ定数)Kと相対変位 uslipに比例します。

クーロンの不等式ではなく、バネの式として扱うことで、変位から力を一意に計算できるようになります。
2. 滑り判定
計算されたFτ が、クーロンの限界値μFnを超えそうになった時点で「滑り」と判定します。

この領域に入ると、摩擦力はμFnで一定(あるいは動摩擦係数に従う)となり、バネによる拘束が解かれて滑りが発生します。
まとめ
理想的なクーロン摩擦の定式化は「0か1か(動くか動かないか)」という不連続な世界ですが、ペナルティ法を導入することで、これを「硬いバネの変形」という連続的な物理現象に置き換えて計算可能にしています。
この「固着剛性K」の値は、デフォルトでは解析ソルバーが自動決定することが多いですが、ユーザーが明示的に設定できる場合もあります。
この剛性が低すぎると、止まっているはずの場所でズルズルと動く精度不良が起きますし、高すぎると計算が不安定になります。
[From K.Tsukidashi]
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