近年、製造業において「サステナブル(持続可能)なものづくり」が以前にも増して重要視されるようになっています。粉体を扱うプロセスでも、環境負荷の低減やエネルギー効率の改善、無駄削減が求められており、これらの課題に対してシミュレーション技術が大きな役割を果たし始めています。今回は、粉体シミュレーションがサステナブル製造にどのように貢献できるのか、その視点から解説します。
COLUMN
技術コラム
【粉体】Vol44 粉体シミュレーションで実現するサステナブル製造(環境×粉体)
サステナブル製造と粉体プロセス
粉体は化学、食品、医薬品、素材など多くの産業で利用されていますが、以下のような課題が発生しやすい特徴があります。
・過剰混合によるエネルギー消費の増加
・配管や装置内での付着・閉塞によるロス
・品質不均一による廃棄量の増加
・試作回数の多さによるコスト・時間のロス
これらはすべて環境負荷に直結するため、改善には「事前予測」や「工程の最適化」が鍵になります。ここで粉体シミュレーションが活躍します。
粉体シミュレーションが貢献できるポイント
① 無駄なエネルギーを減らす
混合や輸送では「必要以上に動かしすぎること」がエネルギー消費の増加につながります。シミュレーションでは、
・混合が十分進むまでの時間
・効率的な回転数・流速
・粉体が停滞しやすい領域
などを事前に把握し、最適条件の設定が可能です。
結果として、「過剰運転の削減=エネルギー削減」へつながります。
以下は、市販粉体シミュレーションソフトウェア iGRAF を用いて、攪拌速度が混合物へ与える影響を確認したシミュレーション動画です。
② 試作回数を減らし、材料ロス削減
粉体の挙動は実験だけでは読み切れず、多くの企業で試作回数が多くなる傾向があります。シミュレーションでは、
・粉体の流れ
・分級・偏析の発生箇所
・詰まりやすい領域
を可視化できるため、試行錯誤の数を減らし、原料の無駄や試作コストを削減できます。
③ 分離・偏析の予測で廃棄量を低減
混合製品の場合、偏析による品質ムラが廃棄の原因になる場合があります。
シミュレーションでは、粒径・密度・形状の違いによる分離傾向を予測でき、
・配合順序
・混合容器形状
・混合時間
の最適化へつなげることができます。
結果として、「ムラによる不良」の削減が期待できます。
④ 設備設計の最適化で環境負荷を軽減
粉体と流体の連成解析(粉体+流体シミュレーション)を利用すると、
・空気輸送ラインの圧力損失の最小化
・フィーダーやサイクロンの分離効率向上化
・装置内の滞留領域の低減
といった設計改善が可能になります。
設備をより効率的にすることで、長期的なエネルギー削減にも繋がります。
さいごに
今回は「サステナブル製造」という視点から粉体シミュレーションの活用例を紹介しました。粉体プロセスは目に見えにくく、非効率になりやすい領域ですが、シミュレーションを活用することでエネルギー削減・試作削減・廃棄削減といった多方面の環境メリットが得られます。
以下に、サステナブルな製造を実現するために粉体シミュレーションを活用できる主な応用例を示します。

[From Vidura Gamage]
関連製品
粉体・流体シミュレーションソフトウェア iGRAF(アイグラフ)
https://www.sbd.jp/products/powder/igraf.html
第1・第3木曜日配信!
SBDメールマガジンより、
最新の技術コラムをお届けします。
Analysis Case
解析事例
Analysis Case
解析事例
解析事例
Case Study
導入事例
-
-
-
iGRAFによるシミュレーションで、様々な課題発見、試験回
もっと詳しく数の大幅削減による効率化、生産性の向上などを実現できました
Topics
トピックス
イベント・セミナー
シミュレーションに関するイベント・セミナー情報をお届けいたします。
2025年11月17日
2025年11月13日
2025年11月05日
トレーニング
SBD製品各種の操作トレーニングを開催しております。
2022年11月02日
2022年03月04日
2022年03月04日
技術コラム
シミュレーションに関する基礎知識や、製品の技術的なノウハウが満載の技術コラムをお届けいたします。
2025年12月02日
2025年12月01日
2025年11月11日
Topics
トピックス
トピックス
イベント・セミナー
シミュレーションに関するイベント・セミナー情報をお届けいたします。
2025年11月17日
2025年11月13日
2025年11月05日
トレーニング
SBD製品各種の操作トレーニングを開催しております。
2022年11月02日
2022年03月04日
2022年03月04日
技術コラム
シミュレーションに関する基礎知識や、製品の技術的なノウハウが満載の技術コラムをお届けいたします。
2025年12月02日
2025年12月01日
2025年11月11日