CASE
株式会社栗本鐵工所 様 導入事例
粉体シミュレーションソフトウェア「iGRAF」導入事例
機械システム事業部 粉体プロセス本部 粉体プロセス技術営業部
グローバル営業課 2グループ 主査 韓昌和氏(左)、グローバル営業課 3グループ 孫沐紫氏(右)
「iGRAFのシミュレーションによって、
コストダウンと新しいパドル形状の設計・製作が実現できました」
様々な業界の製造ラインを支える産業設備を製造している株式会社栗本鐵工所の粉体プロセス技術営業部では、設備開発においてより省力化、効率化を目指し、粉体シミュレーションソフトウェア「iGRAF」を導入した。導入の経緯や具体的な活用法、強み、得られた効果などについて、同社の粉体プロセス技術営業部 グローバル営業課 2グループ 主査 韓昌和氏、グローバル営業課 3グループ 孫沐紫氏にうかがった。
定性的な結果とコストダウンのため導入を検討
― まずは御社の事業内容について教えてください。
弊社は「社会インフラ」と「産業設備」の領域において、7つの事業を展開しています。社会インフラでは、上下水道、エネルギー・通信インフラ、道路など社会のあらゆる生活基盤を、中長期的視点から構築・維持管理しており、パイプシステム事業部や、バルブシステム事業部、建材事業部、化成品事業部があります。また素形材エンジニアリング事業部、化成品事業部、機械システム事業部では、様々な業界の製造ラインを支える産業設備などを製作しています。
私は機械事業部の、粉体プロセス技術営業部に所属しており、混練・粉砕・乾燥の各設備を取り扱いながら、多種多様な粉体材料、樹脂、化学品などを扱う化学メーカーや電池メーカーといったお客様の品質及び生産性の向上に貢献するため、設備だけではなく、プロセスも提案しています。
― iGRAFを導入した経緯は?
当社の主力設備である 2軸連続式混練機(KRC Kneader) や 2軸連続式反応機(HB Reactor) といった装置において、内部で起っている現象の把握や、パドルパターン・回転数・機内原料の充満率などの混練要素は、機器性能を決める上で非常に重要な要素です。機器性能を決める上では当社テストセンターの設備でテストを実施することが有効な方法で、従来は、お客様から装置のテストの依頼を受けて上記要素を確認していました。しかし、この方法では、経験に依存する傾向が大きく、条件の変更や試行錯誤に時間がかかっていました。
例えば、パドルパターンを変えてテストを行う際は、気温や湿度が高い環境の時もありますし、付着性のある原料の場合はパドルに付着した原料を取り除くのに時間がかかり、すぐに交換できないこともあります。テスト結果が良くなかった場合、すぐに次のテストができず清掃や準備のため、翌日まで待機することもあります。このように実際のテストは準備による待ち時間が多く発生し、効率面を考慮すると課題がありました。
これらの課題を解決するため、諸条件に左右されずに定性的な結果が得られ、都度実験しなくてもある程度の結果が予測できるシミュレーションソフトの導入を検討し始めました。そんな時、粉体シミュレーション技術利用分科会で、粉体シミュレーションの世界的権威である東京大学の酒井幹夫准教授から 連続式混練機(KRCニーダ)を用いた共同研究のご提案をいただき、同時にiGRAFの紹介もいただきました。これが最初のきっかけです。その後、構造計画研究所(KKE)のWebサイトなどでiGRAF について調べ、1 カ月の評価利用を行いました。
― 評価利用してみての感想は?
乾燥している粉体を実際にKRC Kneaderに入れてシミュレーションをしてみたところ、実際の挙動がすぐ見られたのと、計算が早かった点に魅力を感じました。また、自分自身で使ってみてすごく使いやすかったし、誰が使っても同じ結果が出る点も好印象でした。試用の結果、iGRAFなら当社が抱えていた課題が解決できそうだと実感しました。他のシミュレーションソフトも使ってみたのですが、そこまでいい結果が出なかったこともあり、2018年6月に本格導入しました。
方向性の変更で再現可能
― 実際にiGRAFを導入してみていかがでしたか?
まずは当社の2軸連続装置の KRC Kneader と HB Reactor の内部の流れ場の挙動を、iGRAFを使って再現してみました。装置に入れた高粘度の水あめがどのくらいの時間分布で出てくるのかを可視化テストでデータを得て、それをiGRAFで実際に計算してどのような結果が出るのかを試しましたが、最初からすべてがうまくいったわけではありません。iGRAF で流れ場を再現するため、計算モデルの一つである付着性を考慮した粒子単相流で計算を行ったのですが、実際の物性値が不明であり、入力したパラメーターによって計算結果が変わったので再現することが難しかったのです。
まずは、1つのケースで可視化したテスト結果を再現できるように 、iGRAF 上の計算条件を合わせるように方向性を変更しました。可視化テストの流れ場を精度よく再現できる条件を見つけ、他の形状にも適用した結果、流れ場を精度よく再現できました。その条件を元に、混練要素の一つであるパドルパターンによる混合状態や輸送能力の相対評価を行い、目的に合ったパドルパターンを決めることができたのです。
このように、ひとつのケースだけではなく装置の形状が変わっても同じ結果が得られたので、シミュレーションは再現性があり、iGRAFを使えば、2軸連続装置の混合状態や輸送能力などのテストを行わなくても評価できると判断しました。
iGRAFによる2軸混練機(KRC Kneader)の様子 |
新規パドルの設計・製作に成功
― iGRAFの使用によって得られた効果や成果について教えてください。
iGRAFのシミュレーション結果を元に、新しくパドル形状を設計・製作し、可視化テストで実際に確認しました。その結果、シミュレーションで予測した挙動が実際に可視化テストでも得ることができたので、今後パドル形状を設計する上で重要なツールとして活用できると思います。これは非常に大きな成果と言えます。
― 他にiGRAFを導入してよかったと思う点は?
計算精度が高いことと、シミュレーション結果が3D動画のため、見た目でわかりやすい点ですね。我々使う側はもちろん、我々にテストを依頼してくださったお客様にiGRAFのシミュレーション結果を見せて、こうやってパドルを決めていますと説明すると、お客様もわかりやすいと納得してくださいます。お客様ではこのようなシミュレーションはできないので評価いただいています。
また、導入理由のところでもお話しましたが、操作性がよく、使いやすい点も大きなメリットですね。
レスポンスが早く、わかりやすく説明してくれた
― KKE に対する評価を教えてください。
今回、粒子法ベースのシミュレーションソフトを使用するのは初めてで、導入当初はいろいろと困ることが多かったのですが、そのたびにKKEの担当者に連絡すると、わかりやすく説明していただけました。レスポンスもとても早かったです。
例えば、導入当初は計算条件を決めて計算した時、ある時間をすぎたら計算が破綻してしまったことが多々ありました。いただいたマニュアルを見て確認しても原因がわからなかったので、それをモデルとともにKKEの担当者に送ると、すぐ確認して回答をいただきました。その回答に従ってパラメーターを変えて計算し直したら無事問題が解決できました。それ以降は、すぐに様々な計算ができるようになったので助かりました。
また、iGRAFはリリースされてからそこまで時間が経っていなかったことから、時には一緒に協力しながら問題を解決したこともありました。このようなサポートにはとても感謝しています。一方、iGRAFは今後も機能がアップグレードしていくと思いますが、様々な業界のユーザーの声を反映してほしいと思っています。
― 今後の展開・目標は?
2軸連続装置において、パドルパターンや回転数、原料の充満率などの混練要素が機内原料の混合状態や滞留時間に及ぼす影響をデータベース化し、テスト前のパドル選定などに利用していきたいと考えています。 また、流動層乾燥機でも、iGRAFの強みの一つでもある流動層流れのシミュレーションを行い、設計に生かしていきたい。それができたら次は粉砕機と徐々にステップアップしていきたいですね。
そして、操作性に優れ、半日ほど教えたら誰でも容易に使用できるiGRAFの特徴を生かして、社内メンバーの誰でも使用できるように教育したいです。同時に、自分で使用して感じたところなどを書き込んだ独自のマニュアルの作成にも取り組んでいきたいです。
取材日:2022年3月 | |
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株式会社栗本鐵工所について | 創立:1909年 所在地: 本社:大阪府 ホームページ:https://www.kurimoto.co.jp/ Co-LAB 機械技術センター :https://www01.kurimoto.co.jp/co-lab/ |
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iGRAFによるシミュレーションで、様々な課題発見、試験回
もっと詳しく数の大幅削減による効率化、生産性の向上などを実現できました
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