CASE
月島食品工業株式会社 様 導入事例
粒子法流体解析ソフトParticleworks導入事例
(左から) 樋口碧氏、次長 坂田光生氏、係長 村田悠氏、係長 高井純一氏
「Particleworksの活用によって、
品質の安定化やコストダウンに加え、社員の意識改革にも繋がりました」
食用加工油脂の製造・販売などを手掛ける月島食品工業株式会社は、製造プロセスの評価のため、粒子法流体解析ソフトParticleworksを導入した。導入に至るまでの経緯や実際に使用した率直な感想、得られた成果などについて、生産本部 技術部 係長 村田悠氏、高井純一氏に語っていただいた。
品質の安定化のために導入を検討
― Particleworksの導入を検討した理由はどのようなものだったのですか?
私たちのような食品メーカーにとって最も重要な課題は、すべての製品を同じ品質で作ることです。そのために最も重要なファクターは、原料を均一に混ぜることです。それができなければ、製品の品質が安定せず、販売先によってバラつきが出る事態になります。そうなると、お客様の信頼を得られず、製品も売れなくなり、最終的には経営の悪化を招きかねません。
一方で、これまで原料がしっかりと混ざっているかどうかを科学的に評価する方法は確立されていませんでした。そこで、撹拌解析の実績が豊富なParticleworksの導入を検討することにしました。
SDGsへの配慮が導入の契機に
― 導入は円滑に進みましたか?
いいえ、これがものすごく大変でした。Particleworksを導入しようとして最初にKKEに相談したのは2015年です。当時の上層部にParticleworksの有用性を訴えましたが、許可は下りませんでした。私たちは、シミュレーションを導入することで試作品の数を減らすことができるため、生産性の向上やコストダウンが見込めることを訴えたのですが、上層部は試作を重要視しており却下されてしまいました。
しかし、2020年に再度説得を試みたところ、導入の許可が得られたのです。
― 今回、許可を得られた理由は?
いくつかあるのですが、最大の理由は時代の流れと会社として重視するポイントが2015年とは大きく変わったことです。今回、私たちはSDGsを背景として、次のように導入のメリットを整理しました。「新製品開発のため、原料を大量に使って試作品を作った場合、うまくいかなかった試作品の多くは廃棄処理され、環境負荷が大きくなります。しかし、シミュレーションによって裏付けされた条件で開発すれば、試作品の数を減らすことができます。さらに、試作1回あたりの費用は数百万円で、10回繰り返せば1000万円以上のコストがかかります。大幅なコストダウンが可能で、SDGsにも貢献できます。」
結果的に、2020年にはSDGsの機運が世界的に高まっていたこともあり、上層部の理解を得ることができました。その後、2022年からParticleworksを導入し、本格的に使用を開始しました。
生産機トラブルの解決やコストダウンなど多数の成果
― まずはどのような課題に適用したのですか?
現在工場に設置してあるタンクで水と油の混ざり具合を解析し、どの工程が最もきちんと混ざっているかを調べ上げるところから始めました。そして、そこからどのような手を加えればより混ざりが良くなるかを徹底的に探りました。
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― 現時点での成果やParticleworks導入のメリットについて教えてください。
新製品を開発する際、社内の研究所にある小規模な設備では水と油がよく混ざっていても、実際に生産する大規模設備で行うと、撹拌機内部の見えない部分がうまく混ざらないことが多くありました。原因を究明しようにも撹拌機のスケールが大きく、目で見える範囲では分かりませんでした。
それが今回、Particleworksで解析することによって、目に見えない内部の混ざり具合を可視化できました。これにより、うまく混ざらなかった原因が判明し、対策を立てられるようになったことが大きな成果です。それに伴い、当初の目標だったコストダウンや省人化も実現できました。
さらに、それらのシミュレーション結果をタンクなどの製造設備を運用している工場の担当者にも共有しました。そうすると、「実はこんなことをしたかった」という声が現場の、特に若手から数多く上がってくるようになりました。そのおかげで私たちも新しい気づきを得られています。現在は、原料の混ざり具合の評価に留まらず、安定的に高品質の製品を生産できる設備の改良に向けて現場の人間と一体となって取り組んでいます。
より良い製品づくりの新たな切り口も
今まではメーカーが作った既成のタンクを購入して、私たちで混ぜやすいように条件を作り込んでいました。原料をうまく混合するための最重要部分はタンクメーカー頼りだったのですが、Particleworksを導入した今では、自分たちで混合の評価ができるため、タンクメーカーにこのようなタンクを作ってほしいとリクエストできるようになりました。現在はParticleworksによって得られたデータを元にお互いに意見を出し合って、私たちの製造に最適化されたタンクの設計を詰めている段階です。Particleworks導入によって、より良い製品づくりの新たな切り口を得られたことはかなり大きな成果です。
そして、私たちの意向が反映された独自のタンクを作ることができれば、よりクオリティの高い製品を偏りなく安定的に作ることが可能となります。不良品が減り、コストを削減でき、生産性が上がれば、最終的には当社の成長に繋がるでしょう。Particleworksは数々のメリットがあるので苦労して上層部を説得して導入できて本当によかったと思っています。
― 今後の目標や想定している展開は?
私たちの究極の目標はユーザーに喜んでもらえる製品を作ることです。そのための一つの手段としてParticleworksをより使いこなせるようになりたいですね。様々な機能を駆使して、シミュレーションの領域を広げ、妥協なき製品づくりに努めたいと考えています。
― KKEに対する評価を教えてください。
Particleworksのようなシミュレーションソフトや3DCADを使うのは初めてだったので、最初は使い方がわからず苦労しましたが、KKEの担当者に粘り強く御指導いただいたおかげで少しずつ使えるようになりました。KKEの丁寧なサポートには感謝しています。
今後、Particleworksを使う仕事が増えるのは間違いないので、KKEには引き続きお付き合いいただけると嬉しいです。今後ともよろしくお願いします。
取材日:2022年6月 | |
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月島食品工業株式会社について | 創立:1948年 本社所在地:東京都江戸川区 ホームページ:https://www.tsukishima.co.jp/ |
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