構造解析の経験年数によって、悩みは様々かと思いますが、今回は初級から中級者の方々からよくご質問いただく、モデルのメッシュ数についてお話してみたいと思います。
ご存知の方も多いかと思いますが、解析モデルのメッシュ数が多くなればなるほど、解析時間は長くなっていきます。
業務でCAEを活用することを念頭に置いたとき、決められた時間のなかで、「いかに多くのパターンの解析を実行できるか」が重要になります。切迫した状況でなかったとしても、モデルはできる限り解析がしやすい状態にしておきたいものです。
基本的には実製品を想定して精密に作成した3Dモデルが手元にあり、解析に活用するという流れになるかと思います。初級者の方からすると、CAE解析で正しい結果を得るためには、形状は製品を忠実に表現した形状のモデルで行ったほうがいい、とイメージされるかもしれません。精密な形状の例を挙げると、小さなフィレットや面取りなど製品の輪郭に施されていることがあるかと思います。今回はフィレットの影響についてお話します。
COLUMN
技術コラム
効率的に解析を進めるためには?メッシュ数を減らして解析を行うためのポイント【構造vol.16】
小さなフィレットがモデルに与える影響
フィレットが含まれたままで解析を進めた場合に、どのような影響があるかをフィレットがあるモデルとなしのモデルで解析し、メッシュ数と解析時間を確認します。
以下の図のモデルでSOLIDOWORKS Simulationを活用して線形静解析を行います。

メッシュ条件は以下の通りです。
■メッシュ条件
曲率ベースメッシュ、最大サイズ:10㎜、最小サイズ:0.25㎜
■境界条件
図に記載されている内容を参照。

■メッシュ数、解析時間、最大変形量
フィレットあり : 54006 、 6秒 、 1.65㎜
フィレットなし : 3514 、 1秒 、 1.72㎜


解析時間はいずれも10秒以内に終わってはいますが、これだけシンプルな形状のモデルであっても7倍近く差が生じるということがわかります。
メッシュを確認すると、明らかにフィレット周辺にメッシュが密に配置していることがわかります。微細な形状があまりにも多い場合には、このようにメッシュが必要以上に作成されてしまうことにつながり、解析時間の長期化に影響します。
製品形状のモデルが手元にあれば、そのまま解析の準備に進みたくなりますが、いったん落ち着いて見直す必要があることがわかっていただけるでしょうか。
フィレットが必要か、不要か
最初にも述べたように、このようなフィレット形状をすべて無くしたらよいかといえばそうではありません。
以前ご紹介したコラムのURLを添付しますが、応力を確認する場合、応力集中箇所にフィレットがない場合、特異点と呼ばれる応力値が収束しない箇所が発生してしまい、結果の読み取りが困難になります。
(参考ページ:https://www.sbd.jp/column/kozo_vol1_singularity.html)
あくまで目的としている結果に影響を与えない範囲の形状を補正する、という結論になるわけですが、モデルを見てすぐに判断することが難しいです。確証を持つことができない場合には、事前に形状を修正するモデル、しないモデルの間の結果の差異を事前に確認することが確実です。地道ではありますが、より規模の大きなモデルになればなるほど、後々痛い思いをすることになるため、事前検証は欠かさないようにしましょう。
まとめ
今回は、フィレット部のメッシュ数への影響についてお話しました。
2パターンのモデルの結果を比較したことで、影響度を確認いただけたかと思います。
今回のような事象はフィレット以外にも、面取りや刻印なども同様に生じることがあるため、形状の事前確認は必ず行うようにしましょう。
[From K.Mikuni]
関連製品
SOLIDWORKSアドイン構造解析ソフトウェア|SOLIDWORKS Simulation
https://www.sbd.jp/products/kozo/solidworks_simulation.html
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