CASE
株式会社ダイセル 様 導入事例
粒子法流体解析ソフトParticleworks導入事例
![](/case_list/case_study/img/particleworks_daicel_pic1.jpg)
(左から)主任研究員・山田剛史氏、糸見明穂氏、胤森雄太氏、グループリーダー・伊奈智秀氏、主任研究員・鈴木翔太氏
「Particleworksの導入・機能拡張によって、
新製品検討の期間短縮・コストダウン・製造トラブルの解決・安全性の確保・自社生産に
最適化された機器の設計など多くのメリットが得られました」
![株式会社ダイセル 会社ロゴ](https://www.sbd.jp/case_list/case_study/img/particleworks_daicel_logo.jpg)
国内唯一の酢酸メーカーであり、様々な化学合成品を製造・販売している株式会社ダイセルは、格子法の流体解析に限界を感じ、粒子法流体解析ソフト Particleworksを導入した。導入の経緯や実際に使用した率直な感想、得られた成果などについて、生産本部 生産技術センターシミュレーショングループ グループリーダーの伊奈智秀氏、主任研究員の鈴木翔太氏と山田剛史氏、胤森雄太氏、糸見明穂氏に話をうかがった。
格子法流体解析ソフトに不満を感じ、導入を検討
― まずは御社の事業内容について教えてください。
当社はセルロース化学、有機合成化学、高分子化学、火薬工学をコア技術にして、化学製品、高機能材料、精密火工品システムなど、化学の枠を超えて、さまざまな分野でグローバルに事業を展開しています。
― Particleworksの導入を検討した理由や経緯は?
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当社のすべての事業領域で必要不可欠なプロセスが、原料をかき混ぜる撹拌です。その撹拌が機器の中で正しく行われなければ、製品品質の低下やばらつきが生じます。当社では撹拌を科学的に評価するため、以前から格子法のシミュレーションソフトを使用していました。しかし、高粘性材料の取り扱いが難しいなど運用面での限界があり、2016年頃から別の流体解析ソフトの検討を始めました。
その折に構造計画研究所の方にParticleworksの話を聞く機会があり、格子法では難しい高粘性材料の計算が可能で、サポート体制もしっかりしているとのことでしたのでParticleworksに興味を持ちました。その後、実際に試用させていただいた上で、実務でも使えそうだと判断し、2017年に正式導入しました。
撹拌機で液面の形を捉えられるのが革新的だった
― 実際に現場で使用してみていかがでしたか?
格子法のソフトで液面を厳密に出そうとすると、計算の難易度が高くなるため、液面を仮定して解いていましたが、粒子法のParticleworksでは簡単に精度よく解析できました。当時は、撹拌機内の液面形状を捉えられることが、Particleworksの最も革新的だと感じた点でした
解析しながら液体の流れを確認できる点も非常に良いと感じました。それまで使用していた格子法のソフトでは解析終了→描画設定→動画出力→再生という手順でしたが、Particleworksでは解析しながらどういう流れになっているのか確認することができます。これは他のシミュレーションソフトにはない強みですね
製造工程の検討期間の短縮、コストダウン、リスクの低減など多数の成果
― Particleworks導入による成果やメリットについて教えてください。
撹拌の解析スピードが格子法よりも速いという点は大きなメリットです。速ければ多くのケースを試すことができ、検討時間を短縮できます。実は、一件の実験を行うためにはかなりの手間がかかります。手続き書類を作成し、各関係者の承認を得なければなりません。
![](https://www.sbd.jp/case_list/case_study/img/particleworks_daicel_pic4.jpg)
その後も準備に人手や時間など多くのコストがかかります。しかし、シミュレーションを使うことによって、実験の件数を絞り込むことができるため、手続きの作業が大幅に減り、省人化やコストダウンなどを達成できた上に、検討のクオリティも向上しました。
何より、化学メーカーにおける実験は危険を伴います。万が一、失敗すれば事故に繋がり、負傷者が出る可能性もあります。これが食品メーカーや化粧品メーカーの実験と大きく異なる点であり、実験の数を減らすことでリスクも減らせるという点も大きなメリットです。
さらに、新しい製造設備を導入する際、Particleworksで取ったデータを元に機器メーカーと一緒に設計段階から仕様を詰めていくこともしています。当社の生産に最適化された機器の導入にもシミュレーションが非常に役に立っています。
自社の課題に合わせてソフトをカスタマイズ
― Particleworks関連で他に取り組んでいることはありますか?
ある製造設備内の現象を解析するために、Particleworksにはない機能が必要となったことがあり、私たち自身でSDK(Software Development Kit=ソフトウェアカスタマイズ機能)を使ってポスト処理や物理モデルを新規で追加しました。Particleworksは拡張性が高く、自分たちで機能拡張できる点も導入してよかったと思う点ですね。
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― KKEに対する評価を教えてください。
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元々、格子法のシミュレーションソフトを使用していたこともあり、当社には最初から自らマニュアルを読んで勉強するタイプの社員が多く、ソフトの使い方の観点ではサポートの必要性はあまりなく、導入前のKKEによるレクチャーのみで十分使いこなすことができました。ただ、先程お話しした機能拡張の際にはSDKの環境構築で、KKEのサポートにはかなりお世話になりました。こちらの困りごとに対するアドバイスも的確で、レスポンスも早く助かりました。
また、計算結果の評価について、自分が行おうとしている方法が適切かどうかサポートに相談した際、より早くできる方法を勧めていただいて助かったこともありました。
新たな解析に挑戦したい
― 今後の展望やトライしてみたいことは?
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当社には撹拌機が数多くあります。Particleworksは撹拌に対してベストなシミュレーションソフトなので、活躍の場はこれからまだまだ増えるでしょう。
また、当社は粘度の高い原料を取り扱っているので、プラスチックの二軸混練機の解析を反応も含めて検討しています。最近は複雑な撹拌機の導入も進んでおり、現象を見極めることは必要不可欠です。二軸のような横型に羽がついている、複雑に回転する撹拌系の解析はParticleworksでなければ不可能なのでそれに挑戦したいです。セルロース系の溶解について、まずは流動だけでも解析できれば大きな成果ですね。
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![主任研究員 山田剛史氏](https://www.sbd.jp/case_list/case_study/img/particleworks_daicel_pic2.jpg)
さらに、精度についてはこれまでより高いクオリティが求められているので、今までは許されていた「この撹拌機でとりあえずこのくらい混ざっていたからよいか」という考え方が通用しなくなっています。だからこそこれからは、シミュレーションで現象を可視化して、問題箇所を特定~改善する作業がますます必要になるでしょう。その意味でも今後シミュレーションを活用する場が増えることは確実です。そのための技術力の向上に継続して取り組んでいくことが今後の展望ですね。
それに伴い、当社では今後もParticleworksの新規ユーザーが増える予定ですので、スムーズに活用できるよう環境構築にご協力いただきたいですね。今後ともよろしくお願いします。
取材日:2022年7月 | |
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株式会社ダイセルについて | 創立:1919年 本社所在地:大阪府大阪市 ホームページ:https://www.daicel.com/ |
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