粉体解析を行う際、「DEMで十分なのか? それともDEM-CFD連成が必要なのか?」と迷われた経験はないでしょうか。
連成解析は現象をより詳細に再現できる一方で、計算負荷は大きくなります。一方、DEM単体は比較的軽量に解析できますが、流体の影響を直接扱うことはできません。
では、どのような基準で使い分ければよいのでしょうか。今回はその判断の考え方について整理します。
COLUMN
技術コラム
【粉体】Vol47 DEMとDEM-CFD、いつ使い分けるべきか?
なぜ迷うのか?
粉体プロセスの多くは、実際には空気や液体と共存しています。そのため、「流体は存在しているが、解析で考慮すべきかどうか」が判断の分かれ目になります。
重要なのは、粒子運動に対して、流体がどれだけ支配的かという視点です。
流体が「存在する」ことと「支配的である」ことは別問題です。この違いを整理することが、適切な解析選定につながります。
粉体のみのシミュレーションで解決できるケース
相対的に流体の影響が小さい系
・粒径が大きい
・密度比が大きい
・相対速度が小さい
このような条件では、粒子の運動は主に重力、接触力および摩擦力によって決まります。
流体の抗力や圧力分布は、粒子挙動を大きく変えるほどではありません。
例えば、
・ホッパーからの排出
・混合機内での乾燥粉体挙動
・ボールミル内のボール挙動
といった現象では、粉体のみのシミュレーションでも十分に本質を捉えられる場合が多くあります。


上記のような系では、(ホッパーからの排出(左)や混合機内での乾燥粉体挙動(右))、計算効率の観点からもDEM単体が有効な選択肢となります。
流体を考慮することが望ましいケース
相対的に流体の影響が大きな系
・粒径が小さい
・密度比が小さい
・相対速度が大きい
このような条件では、抗力や揚力、圧力分布、さらには流体の速度場が粒子挙動を大きく左右します。
例えば、
・流動層の中の粒子の挙動
・空気輸送での粉体の詰まり
・固液混合器内の液中に固体が分散する挙動
といった現象では、流体を無視すると挙動が大きく変わってしまいます。


上記のような系では、流動層内における粒子挙動(左)や、固液混合器内で液中に固体が分散する挙動(右)といった現象は、流体の影響が支配的となるため、連成解析が必要となる代表的な例です。
粒子が流れに「乗せられる側」になるほ、連成解析の必要性は高まります。
さいごに
DEMとDEM-CFDの違いは、「高機能かどうか」ではありません。
重要なのは、その現象の主役は何か?
・接触・摩擦が主役 → DEM
・流体相互作用が主役 → DEM-CFD
この視点で整理することで、過剰な連成解析や流体影響を無視した過小解析の両方を防ぐことができます。現象の支配メカニズムを見極め、最適な解析手法を選定することが、精度と効率の両立につながります。
粉体操作編では、今後も装置やメカニズムと解析手法の関係について解説していきます。
次回の粉体操作編もぜひご覧ください。
[From Vidura Gamage]
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