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技術コラム

【粒子法】vol.41 Particleworks距離関数の応用:変形する流路の解析

2025年08月12日

今回のコラムではParticleworksでチューブポンプの流れをシミュレーションしました。チューブポンプは医療業界等で広く使われるポンプです。図1に示すように中央のローラーがチューブを押しつぶしながら回転することによって、液体を輸送するという原理です。イメージとしては、歯磨き粉のチューブをつぶすと中身が出てくるのと似た原理です。





図1 チューブポンプ概略図




本来このような対象を解析する場合、つぶれるチューブを弾性体として扱う必要があります。そのため、流体解析に加えて構造解析も必要となり解析は複雑かつ高負荷になります。そこで役に立つのが距離関数です。聞きなれない言葉かもしれませんが、ParticleworksやiGRAFなど一部のシミュレーションソフトウェアに導入されている技術になります。距離関数は図2のように、モデル形状に合わせて作成され、モデル壁と粒子の距離を取得するのに使われる関数です。今回の解析では、ローラーがチューブ内の流路に干渉するようにあらかじめ設定しています。これにより、ローラー周りに作成された距離関数がチューブ内の流路を狭め、疑似的にチューブがつぶれる動きを再現します。





図2 ローラーモデル形状の距離関数※


(図2の右は「CAD形状表示、距離関数非表示」。図2の左は「CAD形状非表示、距離関数表示」。距離関数は白から青色にかけては壁面からの距離を示し、黒色部分は壁面として認識しています。)



解析内容

解析モデルは以下の通り、ローラー、チューブ、液体貯蔵用のプールから構成されます。



図3 解析モデル






図4 ローラーの距離関数※




初期状態ではローラーは静止しており、1~1.5秒の間に60rpmまで加速し、その後は60rpmを維持する設定としています。また、チューブ内は液体で満たされ、2つのプールの水面高さは一致している状態としています。そのため、本解析モデルがポンプとして働いていれば、2つのプールで水面差が生じるはずです。

(※ローラーの距離関数のみ表示していますが、チューブとプールにも距離関数は作成されています。)



解析結果

ローラーの回転が進むと2つのプールで水面差ができ、ポンプとして動作していることが確認できました。







おわりに

今回のコラムでは距離関数を使ってチューブポンプの流れを再現しました。距離関数を上手に使うことによって、本来解析が複雑になる流路の変形を伴う解析対象を疑似的に解析することができました。
他にも距離関数を使ったテクニックがあれば、ぜひお教えいただけますと幸いです。


[From T.Karatsu]



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