今回のコラムではParticleworksでチューブポンプの流れをシミュレーションしました。チューブポンプは医療業界等で広く使われるポンプです。図1に示すように中央のローラーがチューブを押しつぶしながら回転することによって、液体を輸送するという原理です。イメージとしては、歯磨き粉のチューブをつぶすと中身が出てくるのと似た原理です。

本来このような対象を解析する場合、つぶれるチューブを弾性体として扱う必要があります。そのため、流体解析に加えて構造解析も必要となり解析は複雑かつ高負荷になります。そこで役に立つのが距離関数です。聞きなれない言葉かもしれませんが、ParticleworksやiGRAFなど一部のシミュレーションソフトウェアに導入されている技術になります。距離関数は図2のように、モデル形状に合わせて作成され、モデル壁と粒子の距離を取得するのに使われる関数です。今回の解析では、ローラーがチューブ内の流路に干渉するようにあらかじめ設定しています。これにより、ローラー周りに作成された距離関数がチューブ内の流路を狭め、疑似的にチューブがつぶれる動きを再現します。

(図2の右は「CAD形状表示、距離関数非表示」。図2の左は「CAD形状非表示、距離関数表示」。距離関数は白から青色にかけては壁面からの距離を示し、黒色部分は壁面として認識しています。)