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技術コラム

【構造最適化】HiramekiWorksを活用した自動車サスペンションアームの剛性検討

2025年09月02日

背景

近年、自動車業界では、強度が重要な要件となる荷重支持部品の設計において、構造最適化への関心が高まっています。強度以外は軽量化も設計の大希望になります。自動車のように生産量が多い産業では、わずかな材料削減でも大規模に見れば経済的な価値があります。さらに、排出ガス削減の取り組みの一環として軽量化がこれまで以上に重要になっており、とりわけバッテリーによって車両重量が増加しがちな電気自動車の普及がその傾向を加速させています。

自動車の重要な構造部品の一つにサスペンションアームがあります。これは車両の重量を支え、ステアリング、路面の凹凸、ブレーキなどによる力に耐える必要があります。安全性、走行性能、快適性において重要な役割を果たしています。

HiramekiWorksのような構造最適化ソフトは強力なツールを活用することで、設計者がサスペンションアームの形状を最適化し、最小限の材料で最大限の強度と剛性を実現することができます。

本コラムでは、サスペンション全体のアセンブリ動作の運動自由度を考慮しつつ、サスペンションアームの重量を増やさずに剛性を高めるための形状最適化とトポロジー最適化をご紹介します。


最適化の流れ

最適化の流れは以下の通りになります。

1. 元形状から出発し、サスペンションアセンブリ動作を考慮した設計領域を設定します。

2. その設計領域に対して形状最適化を実施し、車両重量を再現した荷重条件下で剛性を最大化します。また、初期設計領域の外にははみ出さない制約を与えます。

3. 形状最適化の結果に対してトポロジー最適化を行い、最終的な最適化形状の重量を削減します。





最適化結果

下図は元形状と最適化後の形状を並べた比較です。






サスペンションアームの最適化形状を備えたアセンブリ全体は以下の画像で示します。




パラメータ 元形状 最適化形状
質量[g] 1939 1904 (約2%軽量化)
最大ミーゼス応力[MPa] 1592.9 424.7 (約73%軽減)
最大変形量[mm] 16.575 1.893 (約89%軽減 / 剛性8.76倍)


変形プロットにおいて、最大変位は89%低減しました。


※変形スケールを10倍に設定しています


製造可能性について

今回はサスペンションアセンブリの運動制約のみをモデルに与え、製造上の制約は設けませんでした。そのため、従来の製造方法では基本的に対応できません。

製造可能性をAM造形で検証するため、Polyjet方式の3Dプリンタを用いて4分の1スケールの試作を行いました。下図・動画のように複雑な形状も正しく造形され、サスペンションアセンブリは意図通りに可動することを確認できました。









まとめ

本コラムでは、HiramekiWorksの形状最適化とトポロジー最適化機能を用いて、自動車サスペンションアームの構造最適化の一例を紹介しました。重量を増やすことなくサスペンションアームの剛性を 約9倍 向上させることができました。


[From Jason Matthews KOK SHUN]

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