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技術コラム

「解析なんでも相談室 vol.5」  ~構造解析での大変位とは?~

2022年08月18日

解析について、よくお問合せ頂くご質問や素朴な疑問をご紹介いたします!
今回は、「構造解析での大変位とは?」とのご質問となります。ご参照ください。

(ご質問)
構造解析を実施していて、「 ~過剰な変位が計算されました~」のメッセージが出てきました。
「大変位」のようですが、よくわかりません?教えてください!

(ご説明)
これは、「大変位に注意してください」との構造解析「SOLIDWORKS Simulation」線形解析でのメッセージですね。それでは、大変位とは?から確認していきましょう。
構造解析には、「線形解析」と「非線形解析」の大きく2種類の分類があることを以前ご説明致しましたが、「大変位」は非線形解析の範囲となります。
おさらいとなりますが、変位に着目すると、それぞれ下記の概要となります。

<線形解析>
 ・力(応力)と変形(ひずみ)の関係が<比例する>仮定の範囲。
 ・微小変形仮定のため大きな変形の解析は困難となる。

<非線形解析>
 ・力(応力)と変形(ひずみ)の関係が<比例しない>仮定の範囲も含む。
 ・荷重を少しずつ増加させ、何度も繰返し再計算をしながら計算を進めることできるため、
  大きな変形、形状変化の挙動を検討することができる。
 ・大変位、大変形、幾何学的非線形と呼ばれる場合もある。

より具体的な例として、構造解析「SOLIDWORKS Simulation」を用いた場合の参考例にてご説明いたしましょう。

【参考例「大変位」】: SOLIDWORKS Simulation 大変位モデル例

①解析条件は、下記となります。
 わかりやすいように、かなり大きな「力」を加えた場合の仮定とします。



②線形静解析にて、解析実施を試してみます。

・線形解析の範囲を超える大きな変位(大変位)が発生している場合、
 下記の注意喚起メッセージが表示されます。
 ※ざっくり言うと、「非線形解析の範囲みたいなので注意してください」とのメッセージです。


 
・その後の対処として、「はい」「いいえ」の選択ができます。
 → 「はい」  : 大変位オプションを有効にして計算する。(簡易的な非線形解析を実施)  
 → 「いいえ」  : 小変位で計算する。(線形解析を実施) 


 
   ※「はい」を選択すると、SOLIDWORKS Simulationの「線形静解析」機能にて、
    簡易的ですが「幾何学的非線形」を考慮した解析が実施できます。



③解析結果は、それぞれ下記となります。

■「いいえ」:線形解析
 →線形の適用範囲外となるため、現実離れした結果となります。


 

 


■「はい」:簡易非線形解析 [大変位オプション有効]
 →簡易的な非線形解析が実施され、比較的、現実に近い結果となります。


 

 


④線形解析機能の「はい」<簡易非線形解析>の注意点
 ・解析制御の調整パラメータを定義設定できない為、解けない場合がある。
 ・解析結果は、加えた荷重が最後の状態のみの出力となる。最終結果のみ出力。
 ・解析結果アニメーションは、解析前と解析最終結果を補正処理したイメージ動画となる。

⑤<非線形解析>の場合について
 別途、上位機能の非線形解析を同じ解析条件にて実施する場合は、下記となります。
 ・解析制御の調整パラメータを定義設定できる為、調整することで難易度の高い課題も解くことができる。
 ・解析結果は、荷重が載荷される途中のステップの結果も出力することができる。 (図-1)
  より詳細な解析結果の分析を実施することができる。
 ・解析結果アニメーションは、途中ステップの解析結果を連続出力表示した本来の結果動画となる。
  このため、プロットステップのカウント数字が表示され変動することも確認できる。 (図-2)


 

 
(図-1):非線形解析結果グラフ (図-2):非線形解析結果アニメーション

まとめ

・構造解析の「大変位」とは、大きな変形が生じる場合で、線形解析の対応範囲外となるため、本来であれば、非線形解析の実施が推奨されることになります。

・構造解析SOLIDWORKS Simulationの線形解析では、「大変位」と想定された場合は、注意喚起メッセージが出力され、簡易非線形解析を実施することが可能となっております。これにより、線形と非線形の違いが具体的に確認して頂けるかと思います。
また、通常の見極めとしては、「はい」(大変位:簡易非線形)と「いいえ」(小変位:線形 )の両方を実施して、それほど数値結果の差がなければ線形の数値でも比較的問題ないと考えられます。差が大きい場合は、非線形解析の実施が推奨されることとなります。
ちなみに、個人的には、線形解析の機能で簡易非線形解析ができるのは、大変お得なのでは?と思っている、今日この頃となります。。。

さて、今回は、「大変位」について、ご説明させて頂きましたが、お分かりいただけましたでしょうか?
取り組まれる課題内容に応じて、どこまでの解析が必要になるか?使い分け判断の参考にして頂ければ幸いです。
解析検討されたい目的に合わせて、適材適所で解析を上手く活用しましょう!!

[From T.Yamamoto]

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