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「解析なんでも相談室 vol.6」  ~非線形解析の例~

2022年09月15日

解析について、よくお問合せ頂くご質問や素朴な疑問をご紹介いたします!
今回は、「非線形解析の例」についてのご質問となります。ご参照ください。

(ご質問)
カバンなどでカチッとはめる樹脂製のバックルの強度検討をしたいのですが、簡単にできるかな?と思っていましたが、少し高度な「非線形解析」が必要と言われました。よくわかりません?教えてください! (下記の課題形状を想定しております。)

画像:課題形状(一般サンプル)

・課題形状 (一般サンプル)

(ご説明)
今回の課題について、まず、必要と思われる非線形解析の種類を考えてみましょう。

 ①スライドしながら大きく移動をする。  →①幾何学的非線形(大変形)
 ②移動しながら接触状態が変化する。 →②境界非線形(接触)
 ③樹脂(荷重に比例しない材料物性)。 →③材料非線形

このように今回は、3種類の非線形種別に全てあてはまると考えられますので、やはり非線形解析が必要になりそうです。また、難易度が高くなりそうなので④簡略化が推奨されそうです。


具体的な例として、構造解析「SOLIDWORKS Simulation」を用いた場合の参考例にてご説明いたしましょう。


構造解析「SOLIDWORKS Simulation」を用いた場合の参考例

具体的な設定を順に考えてみましょう。


■ ①スライドしながら大きく移動をする→①幾何学的非線形(大変形)
・今回は、スライドする移動量が想定できますので、移動する面を指定して「強制変位」の設定をすることで移動する現象に対応できます。具体的には、拘束条件にて変位の指定をすることになります。
・また、非線形解析スタディを選択することで大変位計算がONになり、幾何学的非線形が計算実施できます。


■ ②移動しながら接触状態が変化する→②境界非線形(接触)
・接触が想定される部分に「接触」設定を指定することで、接触(くっついたり離れたり、すべったり)を考慮した計算に対応できます。また、摩擦係数の設定も可能です。
このような接触設定をすることで、境界非線形(接触)が計算実施できます。


■③樹脂材料(荷重に比例しない材料物性)→③材料非線形
・荷重に比例しない材料物性の場合は、材料物性の設定にて非線形弾性材料モデルや弾塑性材料モデル等々を選択して対応することが可能です。
・今回は、材料物性変化が少ない材料であったため、一般的な線形材料(弾性材料)を選択することに致しました。これにより非線形種別の1つを考慮無しとできるため、計算時間の短縮が期待できることになります。

■④簡略化について
・今回のモデルは、前後左右に対称な形状で、境界条件(荷重条件、拘束条件など)も対称であるため、計算モデルを「1/4対称モデル」とすることができます。
解析設定では、全体モデル形状を1/4モデルに編集し、拘束条件の対称を設定することで対応できます。
これにより、計算メッシュが1/4となり計算時間の短縮が期待できます。また、境界の自由度が減るため計算安定性が高くなるメリットもあります。


         

 

 

 
(図-1): 全体モデル (図-2): 1/4対称モデル [計算モデル]


■⑤その他
その他の注意事項としては、詳細は省略しますが、下記のような項目が考えられます。
・非線形解析では、解析ステップ設定などの解析制御設定の調整が必要。
・接触を考慮する場合は、接触指定面のメッシュの調整が必要となる場合がある。
・計算が途中でストップする場合があり、設定を見直しトライ&エラーを繰り返す必要がある。
・非線形解析は、繰り返し計算を実施するため解析時間が多く必要となる。
・解析結果のファイル容量が大きくなるため注意が必要。

非線形解析の結果(例)

・非線形解析(1/4対称モデル)で得られる、計算結果(例)を下記に示します。


 
(図-3):非線形解析結果(1/4対称モデル) 、応力図 [アニメーション]



 
(図-4):非線形解析結果、応力グラフ (移動による応力変化)



 
(図-5):非線形解析結果(ミラー表示)  [アニメーション]
※1/4対称モデルの計算結果を対称表示(ミラー表示)して疑似的にフルモデル結果表示が可能。


まとめ

・今回の課題のように、よくある製品で「簡単に解析できるかな?」と思われる課題であっても、現象を分析してみると、①大きく移動する。②接触状態が変化する。③荷重に比例しない材料物性。等々の状況がある場合には、少し難易度の高い「非線形解析」の実施が必要となりますので注意しましょう。 

・また、非線形解析を実施する場合は、可能な範囲でなるべく簡略化を実施することで、計算時間の短縮や安定計算に大きな効果がありますので、こちらも十分検討されることをお勧めいたします。

さて、今回は、「非線形解析の例」について、ご説明させて頂きましたが、お分かりいただけましたでしょうか?
取り組まれる課題内容に応じて、どこまでの解析設定が必要になるか?参考にして頂ければ幸いです。
解析検討されたい目的に合わせて、適材適所で解析を上手く活用しましょう!!


[From T.Yamamoto]

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