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「解析なんでも相談室 vol.3」 ~よくある質問・疑問にお答えします!~

2021年10月07日

解析について、よくお問合せ頂くご質問や素朴な疑問をご紹介いたします!
今回は、「液体撹拌」のご質問となります。ご参照ください。

(ご質問)
「液体撹拌」の挙動を検討したいのですが、 「流体解析」 で検討ができると聞きました。その中でも、解析手法には、「格子法」や「粒子法」などがあり適用範囲が異なるとも聞きました。どう違うのでしょうか?よくわかりません?教えてください!

(ご説明)
確かに、 「液体撹拌」の挙動検討は「流体解析」で解析検討できますが、具体的にどのような現象を検討したいか?によって、適している解析手法のソフトウェアを選択する必要があります。代表的な「格子法」と「粒子法」で解析できる内容が異なりますので、これより順にご説明いたしましょう。

まず、一般的な「格子法」の流体解析では、計算領域分割(メッシュ分割)して計算点を固定配置し、流体領域(気体or液体)と固体領域を認識させて、液体の流れ挙動の計算を実施することができます。ただし、液面変化(液体と気体の境界が動く変化)は、自由表面問題とも言われており、標準では適用外となりますので、液面(水面)は変化しない仮定で計算される場合もございます。

液面変化を考慮したい場合は、VOF(Volume of Fluid)機能を利用することで適用可能となります。しかし、この機能での解析は、解析時間が多く必要となったり、水しぶきが発生するような激しい挙動までは解析困難であったり、表面張力や濡れ性などの考慮が困難であったりするため、液面変化は高い難易度の解析となります。

このため、格子法で適しているのは、一般的には、回転羽が比較的ゆっくり回転しており、液面の変化が少なく、液面固定と仮定できる場合となります。もしくは、VOF機能を利用すれば、ゆるやかな液面変化がある場合も実施することは可能となります。

わかりにくいと思いますので、具体的な例として、下記の適用事例①②をご参照ください。

■適用事例 ① 「液体撹拌(回転羽)の挙動検討」 (格子法) 
(解析ツール):熱流体解析「SOLIDWORKS Flow Simulation」「Simcenter FLOEFD」




モデル形状解析結果:動画解析結果:断面図
<図1><図2><図3>


■適用事例 ② 「液面変化の流れ検討:VOF機能」 (格子法) 
(解析ツール):熱流体解析「SOLIDWORKS Flow Simulation」「Simcenter FLOEFD」

◆ [YouTube動画]





次に、「粒子法」の流体解析の場合ですが、こちらは液体を粒子(計算点)に置き換え、液体の変化を計算点の移動によって表現する手法となります。このため液体の領域分割無しで解析計算できるためメッシュレス解析とも呼ばれる場合もございます。

粒子法は、液面変化(自由表面)に適しており、回転が速く渦ができるような現象や波しぶきが発生するような激しい液面変化にも対応でき、液体噴射の液滴飛散現象なども検討可能となっております。また、表面張力や濡れ性(接触角)の考慮も可能であるため、詳細な液体変化の検討にも適しております。
また、メッシュレスのため複雑な固体移動(境界移動)の考慮も容易となり、固体が移動することによる液体の変化挙動の検討にも適している解析手法となります。

やはり、わかりにくいと思いますので、具体的な例として、下記の適用事例③をご参照ください。

■適用事例 ③ 「底面撹拌解析」 (液体撹拌:粒子法) 
(解析ツール):粒子法 流体解析「Particleworks」

◆ [YouTube動画]





※参考 (固気液三相流解析について)
・「液体撹拌」に「粉」も追加したいとお聞きする場合もあります。
この場合は、固体(粉体)と気体と液体の3つの属性を一緒に解析する固気液三相流解析と呼ばれる解析が必要となります。これは、液面変化(自由表面)の解析にさらに固体(粉)の挙動の影響も考慮するかなり難易度の高い解析となります。
こちらを1ツールで解析できる粉体/混相流解析「iGRAF」がございますので、参考までに適用事例④をご紹介いたします。下記ご参照ください。

■適用事例 ④  「気体/液体/固体(粉体):固気液三相流れ解析」 (混相流解析) 
(解析ツール):粉体解析「iGRAF」 (CFD+VOF+DEM)

◆ [YouTube動画]





まとめ

・「格子法」の流体解析は、液体撹拌の課題では、液面変化(自由表面)が少なく液面固定と仮定できる場合、もしくは比較的おだやかな液面変化の場合への適用がお勧めとなります。
このように解析内容は限定されますが、特に液面固定と仮定できる場合には、解析時間を比較的短くできるメリットがあります。

・「粒子法」の流体解析では、水しぶきのような激しい液面変化がある場合や、表面張力など詳細も考慮して検討したい場合への適用がお勧めとなります。
特に、格子法では実施できない現象が解析できる点が大きなメリットとなります。
その代わり、解析時間が掛かる場合が多いため、GPU(計算専用グラフィックボード)を利用した高速計算を用いることが推奨されます。

ざっくり言えば、「液体撹拌の検討を流体解析で実施したい場合は、液面変化の影響が少なければ格子法、液面変化が激しく影響が大きい場合は粒子法」が適していることになるかと思います。
実際に両方ご利用のお客様事例がございますので、下記に紹介させて頂きます。ご参照ください。

・[Web事例]  株式会社 明治 様 ご導入事例
https://www.sbd.jp/case_list/case_study/particleworks_meiji.html

さて、液体撹拌を検討する際の、「格子法」と「粒子法」の流体解析の違いについて、ざっくりご説明させて頂きましたが、お分かりいただけましたでしょうか?
解析検討されたい目的に合わせて、適材適所で上手く活用しましょう!!

[From T.Yamamoto]

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