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【構造最適化】構造最適化の事例紹介 vol.1 軸受ユニットの軽量化

2020年11月05日

軽量化

軽量化には大きく分けて2つのアプローチがあります。

1つ目は軽い材料を使用する方法です。例えば樹脂には、金属よりも軽いながらも同程度の剛性や靭性を持つものがあり、近年、金属の代替素材として様々な製品に利用されています。
ただし、樹脂素材は金属と比べ熱に弱い、機械的強度が低い、溶剤耐性が低いなどの問題があり、単純な素材交換ではなく設計の変更が要求されることもあります。
こうしたデメリットを改善した高機能樹脂素材を用いれば、部品をそのままの形状で材料だけ置換して軽量化できるため設計のコストは抑えられますが、その代償として素材の単価が高いという問題が生じます。

2つ目は部品の形状変更を行う方法です。
例えば穴を開ける、肉抜きをするといった部品の形状自体に改良を加えることで、より軽い部品を作ることができます。
ただし、何も考えずに部品の形状を変えてしまうと機械的強度が下がってしまう可能性があるため、形状変更では機械的強度の評価を逐一行わなければなりません。
こうした形状変更による軽量化には、最適化機能を有した構造解析シミュレーションツールが有効です。
シミュレーションでは機械的強度の評価と同時進行で形状を変更できるため、設計プロセスに要する時間を大幅に削減することができます。

今回は、HiramekiWorksの形状最適化機能を用いた『機械部品の軽量化』の事例をご紹介します。

軸受ユニットの軽量化

Fig.1に、軽量化を施す軸受ユニット(形状はModel Mania®を参考)を示します。
この軸受ユニットは外周部にある3カ所の穴で固定されており、中央の円筒内部の面に荷重がかかります。
今回、Table.1に示す2種類の荷重が中央の円筒内部の面に作用するとして、それぞれの荷重に対して剛性を維持したまま軽量化できる形状をHiramekiWorksによって求めます。

Fig.1 軸受けユニット(形状はModel Mania®を参考)


Table.1 荷重条件



最適化の条件を以下にまとめます。

目的
 部品全体の質量を最小にする

制約
 ① Case 1の荷重条件において剛性を100%維持
 ② Case 2の荷重条件において剛性を100%維持

製造制約
 ① 型抜き可
 ② Fig.2で示す面の形状は変更しない
 ③ 肉厚の下限値は3 mm

その他の条件
 最大反復回数:100回

Fig.2 形状を変更しない面(水色で示した部分)



それでは結果を見てみましょう。
Fig.3はHiramekiWorksの形状最適化で計算した結果です。

(a) 等角投影図
(b) 平面図


Fig.3 HiramekiWorksで計算した形状最適化の結果(コンターはメッシュの変形量)


Fig.3のように、大きく肉抜きされた形状を得ることができました。
こんなに削って本当に剛性を保っているの?ということで、Case 1および2の荷重がかかった際の最大変位量を、形状最適化の前後で比較してみました。
その結果がFig.4およびFig.5です。

(a) 形状最適化前
最大変位:0.0164 mm
(b) 形状最適化後
最大変位:0.0164 mm


Fig.4 Case 1の荷重条件における最適化前後での最大変位(表示スケール:700倍)


(a) 形状最適化前
最大変位:0.00104 mm
(b) 形状最適化後
最大変位:最大変位:0.00084 mm


Fig.5 Case 2の荷重条件における最適化前後での最大変位(表示スケール:10,000倍)


Fig.4に示したように、Case 1の荷重条件では最適化の前後で最大変位が変化しておらず、 条件を100%維持 できていました。
Case 2の荷重条件では、Fig.5のように、最大変位が最適化前よりも最適化後で小さくなっており、 元の形状より機械的強度が高い形状 であることがわかります。

それでは部品の質量を見てみましょう。

Fig.6 最適化計算中の質量の推移(横軸は最適化計算の回数・縦軸は部品全体の質量)


Fig.6は横軸に最適化計算の回数を、縦軸に部品全体の質量をとっています。
形状最適化計算を行うごとに、部品は軽くなっています。計算開始時には365.18 gだった質量が、100回の最適化計算後には255.42 gと 約30%もの質量を削減 することができました。

このように、HiramekiWorksの形状最適化機能を用いると、 部品の機械的強度を維持したまま軽量化した形状を求めることができます。
計算に使用したモバイルワークステーションのスペックおよび計算時間をTable.2に示しますので、参考にしてください。


Table.2 計算に使用したモバイルワークステーションのスペックと計算時間

次回予告

次回は、形状最適化を用いた軽量化とは異なるアプローチの事例についてご紹介します。

[From K.Takabatake]

CPU Intel Core i7-9850H @2.60GHz
RAM 16 GB
GPU Quadro T1000
計算時間 3 h 34 m 1 s

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