今回は、接触問題について考えてみたいと思います。
接触は構造解析をしようとすると、必ず出てくる厄介な現象です。アセンブリ―モデルでは必ず存在しますし、単体部品の解析でも、拘束部など実際は治具と接触していたりします。日常の状態をみても、接触状態で構造物を構成しているものばかりです。今、原稿を書いているノートPCもテーブルの上に接触して反力を受けているし、可動部分はすべて接触です。
そのような現象を解析しようとすると、主に3つの問題があります。
1)多体同士の接触では接触する面が多く、接触する可能性のあるすべての面に接触条件を定義してあげる必要がある。
2)マサツ現象を静摩擦、動摩擦係数で指定しますが、その摩擦係数が不明な場合が多い。
3)変位、応力の釣り合い状態を計算する必要がありますが、一般に計算時間が多くかかり、収束結果が得られないケースも多い。
1)は、かなりソフトの自動化が進み、モデル全体での接触面を自動抽出してくれます。これを使えば、ユーザーは接触面をいちいち選択する必要はありません。大変形、動的な問題もステップ毎に接触状態を検索し直してくれます。また、初期干渉部も自動的に形状を修正してくれたり、初期干渉(圧入)状態として接触面を引き戻して計算してくれたりします。
2)これは、トライボロジーなる分野もあり、本質的に難しい問題です。解析では一定の摩擦係数として考慮しますが、あまり係数が大きいと収束が困難になります。摩擦が大きい場合、ラフ接触(接触している間は固着状態となる)を使用したりします。
3)接触現象の過渡的な挙動を緩和させるために、微小なめり込みを許し減衰を入れたり、剛体運動が大きい場合は、モデル全体に柔らかいバネや散逸エネルギーを入れたりします。また、接触面のメッシュを細かくしたり、メッシュタイプを6面体にしたりします。
どこまでモデルを簡略化するかも含めて、モデル化のポイントになると思います。
[From N.Sahashi]
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