解析を実施する上での注意点を解説していまして、前回に続いて熱の解析の境界条件について解説します。
熱の解析と言いながら、今回も流れの話になってしまいますが、小さい穴やスリット形状が多く並んだ開口部のモデル化について解説します。
そのような形状をそのまま3次元CADで表現して、それに対してメッシュを十分に細かく切って解析しようとしますと、セル数が膨大になりメモリ不足や計算時間が長くなり、現実的には解析できないということになります。そこでモデルの「簡略化」を行います。一般的に簡略化と言いますと形状の簡略化や単純な省略を指しますが、ここでは形状及び物理現象を含めて等価に置き換えることを指します。
このことを「コンパクトモデル」という言い方をします。前回説明した、ファンを羽の形状を描いて回転させるのではなく、PQ特性で表現するのもコンパクトモデルです。
開口部の場合には、そこを通過する際に発生する圧力損失を表現するコンパクトモデルを使用します。
FloEFD/SOLIDWORKS Flow Simulationでは、「穴あき平板」と「ポーラスメディア」という機能がありこれに該当します。それぞれ制約や注意点がありますので解説します。
■穴あき平板
入力データとしては、穴の形状、寸法、間隔を設定します。その条件からプログラムがレイノルズ数を算出して、それを考慮した圧力損失を与えます。
形状情報だけを設定すれば良いので、ユーザーとしては使いやすいと思います。
ただし、適用できるのが、境界条件(環境圧力またはファン)が設定されている面に限定されます。
そのため、一般的には、内部流れ解析にのみ適用できる機能です。
■ポーラスメディア
こちらは流れ抵抗を表現するための汎用的な機能になります。そのため、穴開き平板機能が使用できない外部流れ解析でも使用できます。
ただし、穴開き平板機能のように、穴形状から自動的に圧力損失を設定するようにはなっておりません。
そのため、圧力損失を自分で算出するなどして決定して設定する必要があります。
穴径から圧力損失を算出する機能はあるのですが、こちらはある程度奥行き(流れ方向の長さ)のあるもので、穴を通過する摩擦損失を想定していて、穴が開いた板を通過する抵抗である形状損失とは異なりますので注意してください。
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