解析を実施する上での注意点を解説しています。今回からは熱の解析の境界条件についてです。
熱の境界条件といいますと材料物性や発熱源ですが、これらはおいといて、今回は熱を冷却するファンについて説明します。
ファンのPQ特性を設定する方法についてになりますが、この方法については実測と解析で圧力を評価する位置の違いの問題がありまして、その対処方法として「動圧補正」という考え方があります。ご存知でしたでしょうか。
現実のファン特性の測定では、ファンからある程度離れた位置の圧力を測定しています。一方解析ではファンの面で圧力を評価しています。
ファンの風上側の圧力を考えますと、ファンの面の近くで流速が速くなることで動圧が増大しその分静圧が低下します。ここで、実測しているファンから離れた位置の圧力と、解析で参照しているファンの面の静圧とに、動圧分の差が生じます。動圧分風上側の圧力が下がる分、解析のほうが圧力差が大きく評価されます。
この差を補正するために解析ではPQ特性に動圧分を付加してPQ特性自体を補正して使用することで対応します。これを動圧補正と呼んでいます。
上記は一般的な解析ソフトの場合でして、FLOEFD/SOLIDWORKS Flow Simulationでは、静圧の差ではなく、ファンの風下側の静圧と風上側の全圧(静圧+動圧)の差で評価する「自由吹きつけ圧力増加」という設定があります。これを選択することで、動圧補正を行う必要はなくなりますのでお試しください。
他にファンのモデル化で話題になるのが、旋回流ですね。ファンから離れた場所への影響は少ないですが、ファン近傍の部品の温度に対しては影響が無視できません。FLOEFD/SOLIDWORKS Flow Simulationでは、ファンタイプの「軸」の場合ファンの回転数を設定することで自動的に旋回流を設定してくれます。ファンタイプ「ファンカーブ」ではユーザーが直接旋回成分(円周速度、半径方向速度)を設定できます。
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