今回の流体コラムでは、熱流体解析ソフトSimcenter FLOEFDのLEDオプションを使用し、電子機器における結露を解析した事例を紹介いたします。
COLUMN
技術コラム
【流体】電子機器における結露の解析
はじめに
温度変化の激しい環境で使用される電子機器は、結露による故障の恐れがあります。
実際、電子機器の使用条件欄には、使用温度範囲に関して次のような記載があります(表1)。
表1:電子機器の使用条件欄 |
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解析概要
本解析で実施、考察するのは、以下の2点です。
1. 結露の様子を可視化
水膜厚さ、表面温度の時間変化を可視化します。
2. 結露のメカニズムを把握
電子機器内部の流体の流れを可視化し、結露の傾向と原因を把握します。
状況として、結露が発生しやすい冬場、寒い屋外から暖かい屋内への移動を想定し、解析を行いました。
解析条件
■ モデル
図1にモデルと材料を示します。本検討ではファンの作動は無しとしました(外部から暖かく湿った空気を取り入れ、結露が顕著になることが想定されるため)。
![図1:モデルと材料](https://www.sbd.jp/column/img/condensation-on-electronic-equipment_pic2.png)
■ 熱源と初期・境界条件
図2に、熱源と初期・境界条件を示します。
![図2:熱源と初期・境界条件](https://www.sbd.jp/column/img/condensation-on-electronic-equipment_pic3.png)
■ その他解析条件と解析実行条件
表2,3にその他解析条件と計算規模を示します。
計算結果
1.まず、結露の様子を可視化した結果を説明します。図3~6に、物理時間30 sと60 sにおける、水膜厚さ、表面温度のコンター図を示します。
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図3:水膜厚さ (物理時間30 s) | 図4:水膜厚さ (物理時間60 s) |
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図5:表面温度 (物理時間30 s) | 図6:表面温度 (物理時間60 s) |
図3,4より、結露はヒートシンク、サブ基板、電源に生じたことが分かります。
また、図5,6より、表面温度はサブチップと、その周辺のサブ基板が高く、メインチップとヒートシンクも温度上昇したことが分かります。
2.次に、結露のメカニズムについて考察します。図7に、物理時間60 sにおける水膜厚さと、流跡線(絶対湿度)を示します。
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図7:物理時間60 sにおける水膜厚さと流跡線(絶対湿度) |
円形開口部から流入した湿った空気はヒートシンク上部と電源を通過し、反対の開口部×3に到達しました。また、開口部×3から流入した湿った空気はサブチップとその基板の上部を通過しました。
以上の結果から、本検討における電子機器の結露は、開口部から流入した湿った空気が、低温部に接触することで発生したと考えられます。
まとめ
今回の流体コラムでは、電子機器における結露の解析を取り上げました。本解析では、冬場、寒い屋外から暖かい屋内への移動を想定しました。解析結果から、結露の様子を可視化することができました。また、電子機器内部の流体の流れを可視化することで、結露の傾向と、原因を把握することができました。
このように、温度変化の激しい環境で使用される電子機器の設計時には、結露の発生メカニズムを把握し有効な結露対策を行うことが重要と考えられます。
[From K. Sugahara]
今回の解析結果から、結露の発生を抑制するための対策検討と効果検証を実施しました。 ▼▼結果は詳細資料をご覧ください▼▼
デフォルト流体 | 空気 |
---|---|
解析タイプ | 内部流れ+非定常解析 |
初期水膜厚さ | 0 μm |
メッシュ数 | 120,000 cells |
物理時間 | 60 s |
解析にかかった時間 | 60 min |
---|---|
使用CPU | 11th Gen Intel(R) Core(TM) i7 2.50 GHz 32.0 GB |
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