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【流体】野球と流体 vol.2 ツーシームの流体解析

2022年12月01日

今回の流体コラムでは、熱流体解析ソフトSimcenter FLOEFDを使用し、回転移動する野球ボールの空力解析の結果を紹介します。


はじめに

私が野球を始めた当時は「海外のピッチャーのストレートは動く」と言われていました。
第一回WBCを見ていた当時、実際にメジャーリーガーの投げる150km/h越えの「動くストレート」に驚愕したことを今でも覚えています。
この動くストレートは、日本で「ツーシーム」と呼ばれています。今回は、そんなツーシームについて空力解析を行い、フォーシームとの軌道の違いが生まれる要因を分析します。


ツーシームについて

ストレートにはいくつかの種類が存在します。フォーシームについては前回の解説を参考にしてください。
参考:【流体】野球と流体 vol.1 フォーシームの流体解析
ツーシームとは縫い目の向きを表し、ボールが1周スピンする間に縫い目 (seam) の線が2回 (four) 通過するストレートのことを指します。



画像:ツーシームを正面から見たとき

図 1 ツーシームを正面から見たとき


解析概要

それでは、実際に解析を行いツーシーム周りの空気の流れを見ていきましょう。
今回の解析ではある速度で空中を回転しながら進んでいるボールを想定し、ボールを回転させながら正面から風を当てて、その際の空力(抗力・揚力・横力)を評価します。


解析モデル

画像:野球ボールのモデル

図 2 野球ボールのモデル

画像:モデルの全体像

図 3 モデルの全体像


解析ケース
今回は、ツーシームにおいて前回のフォーシームと同様の条件で解析を行い、結果を比較しました。

解析結果

空力解析は以下の結果になりました。

表1 回転数2400rpmの空力解析の結果(ツーシーム)



表1 回転数2400rpmの空力解析の結果(フォーシーム)





ツーシームの方が抗力と横力が大きく、揚力が低い結果になりました。
抗力と揚力のグラフを見ると、一回転の間に横切る縫い目の数が影響していることがわかります。



画像:抗力の時系列グラフの比較

図 4 抗力の時系列グラフの比較




画像:揚力の時系列グラフの比較

図5 揚力の時系列グラフの比較




横力のグラフを見ると、フォーシームは左右交互に横力がかかるのに対し、ツーシームは片側に力がかかり続けることがわかります。
また、解析結果から縫い目が進行方向を向いているときに横力が大きくなることがわかりました。


画像:横力の時系列グラフの比較

図6 横力の時系列グラフの比較



画像:上部から見たボールが受ける力の分布

図7 上部から見たボールが受ける力の分布


まとめ

今回の流体コラムでは、ツーシームの空力解析を行い前回のフォーシームの結果との比較を行いました。解析の結果から、ツーシームとフォーシームにおける空力の違いを確認することができました。

[From K.Tsukidashi]

解析条件  
風流入速度 147.6km/h
回転速度 2400rpm
気温 20.05℃
静圧 101325.00Pa

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