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電気自動車の充電ガンの熱流体解析

はじめに

近年、電気自動車の普及が進んでおり、Teslaや日産の電気自動車が走っているのをよく見かけます。街中には充電ポートも見受けられるようになりました。
電気自動車の充電についてですが、高出力であるほど短時間で充電が終わります(急速充電)。例えば、Tesla Model Sの急速充電(スーパーチャージャー)は最大250kWで充電でき、所要時間は20分もかかりません*(1)。

ただし、急速充電には充電ガンの効率的な放熱設計が必要となります。高出力での充電になるほどジュール発熱が増大し、充電効率の低下、部品の損傷や火傷の危険があるためです。

そこで今回は、Simcenter FLOEFDを用いて充電ガンの熱流体解析を行い、冷却の効果を検討した事例を紹介いたします。

解析条件

解析モデルを図1に示します。計算負荷低減のため、計算領域は図1右上で示す充電ガン周辺のみとしました。


図1 解析モデル


表1に解析条件を示します。冷却液には市販の水・グリコール混合物を用いました(物性値は表2)。電流値には急速充電の一般的な値を用いました。


表1 解析条件

表2 物性値



表3にメッシュ数と計算所要時間を示します。また、図2に計算で使用したメッシュを示します。

表3 メッシュ数と計算時間

図2 計算で使用したメッシュ


まずは冷却の効果を把握するため、冷却無し・有りの場合で解析を行いました。

解析結果

図3に冷却無しの場合、図4に冷却有りの場合の温度分布をピンとケースの最高温度と併せて示します。

ピン最高温度:155℃ ピン最高温度:58℃
ケース最高温度:149℃ ケース最高温度:47℃
図3:冷却なし 図3:冷却あり


図3より、冷却無しの場合はピンが高温で、ピンと接触しているケースの部分も高温となり、150℃程度となりました。耐熱温度60℃のケースは破損しており、火傷の恐れもあります。
図4より、冷却を考慮するとピンとケースの最高温度は60℃以下となりました。ケースの最高温度47℃も耐熱温度60℃を下回っているため破損の恐れはなく、手で触れる部分は20℃程度と十分低いため、安全に使用することができます。

まとめ




今回の解析事例では、電気自動車の充電ガンを対象とした熱流体解析を行いました。急速充電時のジュール発熱を再現し、冷却の効果を把握することができました。
次の検討では、冷却液の各種パラメータを変化させ、所定電流値での充電に必要な冷却の設計要件を検討したいと思います。

備考

解析タイプ 定常解析、重力、外部流れ
雰囲気空気温度[℃] 20
冷却液温度[℃] 20
冷却液流量[L/min] 4.0
充電時の電流値[A] 350
接触抵抗[Ω] 0.055
メッシュ数[個] 100万
計算所要時間[min] 20
使用ソフト Simcenter FLOEFD エレクトロニクスモジュールオプション
計算所要時間 20分
CPU Intel(R) Core(TM) i9-10885H @ 2.40GHz
RAM 32.0GB
冷却液密度[kg/m3] 1050
冷却液粘度[Pa・s] 0.0018
冷却液比熱[J/(kg・K)] 3300
冷却液熱伝導率[W/(m・K)] 0.45
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