CASE
株式会社ENEOS NUC様 導入事例
粉体シミュレーションを使ったコンサルティング事例
製造本部プロジェクト推進室長 土屋智宏氏
低コストで製造プロセス改善の方向性を見出せました」
高機能ポリエチレン製品の開発・製造・販売を行っている株式会社ENEOS NUCは、従来の製造プロセスの改善を目的として、構造計画研究所に粉体シミュレーションを依頼した。具体的な解析プロセスの感想やそれによって得られた成果などについて、製造本部プロジェクト推進室長の土屋智宏氏に語っていただいた。
既存の製造プロセスの検証と新規プロセスの開発のため
― まずは御社の事業内容について教えてください。
当社は高機能ポリエチレン製品の開発・製造・販売を手掛けているメーカーで、主力製品は電線被覆材料として使用される低密度ポリエチレン製品です。電力供給用のケーブルも含めた低電圧の製品も含めると国内におけるシェアは50%。世界でも、500キロボルト送電用の絶縁材料を初めて開発するなど、超高電圧のケーブルのメーカーとしてはトップ3に入っています。
― KKEに粉体シミュレーションのコンサルティングを依頼した理由はどのようなものだったのですか?
これまで、製品の製造プロセスは過去からの経験則を元に設計されていたので、正確には把握しきれていない部分がありました。そこで、改めて科学的手法による既存の製造プロセスの検証や最適化と、今後新たにプロセスを開発するための基礎データを取りたいと考えたのがそもそものきっかけです。しかし実機を使用して実験を重ねるのは手間もコストも膨大にかかります。この問題を解決するにはシミュレーションが有効だと考え、粉体シミュレーションに定評がある構造計画研究所(KKE)に製品の原料となる固体の流動解析の依頼をしたというわけです。
KKEの解析プロセスは今回の目的に合致
― 今回、KKEの粉体シミュレーションの進め方(実施方法の検討→評価指標の提案→解析作業の実施→中間報告→最終報告)はいかがでしたか?
結論から言うと、うまくいったと思います。我々が作る製品の原料はペレットという米粒のような物なのですが、そもそも小さな固体は液体や気体とは違い、複雑で予測不能な動きをするので解析は困難を極めます。ゆえに、今回依頼したような、そもそも明確な結果が得られるかどうかすらもわからないようなケースでは、とりあえずシミュレーションをしてみて、途中でその結果を見て条件を変えたり追加して起きている現象の要因を推定しながら、時には解析の切り口を大きく変えるなど試行錯誤を繰り返しながら最適解を目指すという進め方が合っていると感じました。
その結果、改善すべき問題点が可視化され、これまでわからなかったペレットの動きをある程度理解することができたし、製造プロセス上、正しい方向性がある程度掴めたので、今回のやり方は正解でした。
また、プロセスの方向性は、一つの条件で決まるというわけではありません。類似条件の中でも若干違う変数を与え、その変数間でどのような変化が生まれるのかを確認するのにはシミュレーションはすごくいいツールでしたね。
ちなみに、解析結果もカラーの3Dアニメーションで出るので、シミュレーションのことを深く理解していなくても見た目でわかりやすくてよかったです。
▲ペレット |
― シミュレーションのプロセスで苦労した点はありましたか?
最適解を求めていろいろ条件を変えて解析してもらったのですが、条件が変わったことでなぜこの結果になるのか、シミュレーション手法によるものなのか、現実に起こり得ることなのか、その原因を推定するのが難しかったです。
― その問題は最終的には解決できたのですか?
KKEの担当者とシミュレーション結果についてかなりディスカッションをして、納得のいくまで解析を繰り返していただいたおかげで、ある程度は理解できました。
シミュレーションがなければ目的を達成できなかった
― 粉体シミュレーションのコンサルティングによって得られた成果は?
最大の成果は、当初の目的だった既存の製造プロセスの検証・最適化と今後に適用できる製造プロセスの改善の方向性が決まったことですね。これはシミュレーションを使わなければ実現不可能でした。
先程もお話した通り、解析は条件をかなり変えて、何度もしなければなりませんでした。これを商用プラントで全ての条件をテストしていたら何年もかかってしまいますし、商用プラントで生産する機会ロスが生まれ、ビジネスに支障をきたしてしまいます。そのため、ある程度方向性が見えた上で生産プラントでテストを計画する必要がありますが、その意味でもシミュレーションを実施してよかったと痛感しています。
今回のシミュレーションで得られたデータは、将来、新しい製造設備を導入する際、非常に役に立ちます。さらに、今回の結果で新たなプロジェクトの不安要素やリスクに加え、将来的な規格外品の減少が期待できるので、シミュレーションの意義はとても大きいと思います。
柔軟かつ丁寧な対応に満足
― 今回のシミュレーションコンサルティングを提供したKKE に対する評価を教えてください。
方向性を掴むためには、シミュレーション結果を元に議論して次の条件を決めるというプロセスが必要不可欠なので、単に結果だけ説明して終わりにされてしまうと、永遠に最適解にたどり着けません。その点、KKEの担当者には方向性が掴めるまで、新しい視点や切り口を提案して多面的に解析結果の評価をしていただくなど、かなり柔軟かつ丁寧に対応していただいたので、非常に満足しています。また、こちらの相談に対するレスポンスも早くて助かりました。
― 今後の予定・展望について教えてください。
もちろんシミュレーションだけで終わりというわけではなく、そのデータを元に作った実機でテストをします。その結果の原因を探るためにまた条件を変えてシミュレーションをする必要があるので、今後も継続してKKEに依頼することになるでしょう。引き続き、ご協力いただけると助かります。
※記載されている会社名、製品名などの固有名詞は、各社の商標又は登録商標です。
取材日:2022年5月 | |
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株式会社ENEOS NUC | 設立:1961年 本社所在地:神奈川県川崎市 ホームページ:https://www.eneos-nuc.co.jp/ |
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