今回の流体技術コラムではレイノルズの相似則を紹介します。
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技術コラム
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【流体】熱と流れの不思議 vol.1 レイノルズの相似則
レイノルズ数
はじめに、レイノルズ数とは何かを簡単にご説明します。
レイノルズ数は 慣性力と粘性力の比を取った無次元数 であり、流れに対する粘性の影響力を表します。
代表長さを L (m)、代表流速を U (m/s)、流体の密度を ρ(kg/m3)、流体の粘性係数を μ(Pa・s)、流体の動粘性係数を ν(m2/s) とすると、レイノルズ数 Re は次のように定義されます。
レイノルズ数は分子が慣性力、分母が粘性力の強さを表します。
分母の粘性力が支配的になるとレイノルズ数は小さくなり、流れは層流になります。
分子の慣性力が支配的になると、レイノルズ数は大きくなり、流れは乱流になります。
レイノルズの相似則
形状が相似であれば、レイノルズ数を一致させることで流体の流れも相似になります。
これを レイノルズの相似則 といいます。
実物の寸法で模型を作らなくてもレイノルズ数を一致させれば流れを再現することができます。
■ 検証
熱流体解析ソフトを用いてレイノルズの相似則の検証を行いました。
今回は直径10㎜の円柱と、1/10にスケールダウンした直径1㎜の円柱を用意し、2つの円柱周りの流れを比較します。
■ Case1 : レイノルズ数不一致
原寸モデル( D=10㎜ )と 1/10 モデル( D=1㎜ )で、レイノルズ数を一致させずに流れの状態を比較します。
○ 解析条件
○ 解析結果図
(a)原寸モデル, Re=66.1 |
(b)1/10スケールモデル, Re=6.61 |
○ 考察
Fig.1(a)の原寸モデルでは円柱後方に振動流が発生しています。
一方Fig.1(b)の1/10スケールモデルの円柱後方では振動流が見られず、流れは相似になりません。
これはレイノルズ数が異なるためです。
■ Case2 : レイノルズ数一致
原寸モデル( D=10㎜ )と 1/10 モデル( D=1㎜ )を使用し、1/10 モデルの流速を原寸モデルの 10 倍にすることでレイノルズ数を一致させ、流れの状態を比較します。
○ 解析条件
○ 解析結果図
(a)原寸モデル, Re=66.1 |
(b)1/10スケールモデル, Re=66.1 |
○ 考察
代表長さ(円柱直径の寸法)を1/10にスケールダウンしている為、流速を 10 倍にしてレイノルズ数を一致させています。Fig.2(b) の 1/10 スケールでも円柱後方に振動流が発生するようになり、流れが相似になることが確認できます。
まとめ
異なるスケールの円柱周りの流れ解析において、レイノルズ数を一致させることで流れが相似になることを確認できました。
レイノルズの相似則はスケールダウンした模型で風洞実験を行う際などに活用されています。
物体周りの流れをスケールダウンした模型を用いて高精度に予測することが可能になるため、研究コストの削減に貢献する大変有用な法則として工業分野で広く応用されています。
[From K.Okano]
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