CAEの導入、その価値を稟議書でどう伝える?
みなさまこんにちは。TomTomです。
本コラムで応援歌をいただいている方々は共にCAEの市民権を得るために悪戦苦闘した盟友で、うなずきつつ笑いつつでコラムを読ませてもらっています。
それでは、前回のMt.Fujiさんから引継いで「CAEエンジニアの応援歌」を送らせてもらいます。
私は現在では組織を統括する立場になってしまったのでCAEを直接扱う機会がめっきり減ってしまいました。
ただ、現在でも”ソフトウェアあるいはコンピュータを導入する際に『費用対効果』をどう算出して稟議書を書けばいいのか”で頭を悩ませることが多々あります。
社内でCAEを活用して効果がわかりやすいものは、不良発生時の原因となる事象を予測するケースかと思います。
製品や部品が壊れた場合は実物が観察できますので、材料力学の知見があればおおよその原因が推察できる。
それを検証・証明するためにCAEを使えばいいので解析結果をもとに対策案が施しやすい。
こういう不良事象が平均して年に〇回生じるので、都度解析受託機関に委託するといくらかかるが、自前でやることで年間ウン百万円のメリットを生む。
・・・というものです。
ただ、このストーリーはCAE活用の本質とはいえず、そもそも不良が発生すること自体が損失なのでそれを前提で考えるのもおかしな話です。
そのため、不良を撲滅するための新製品開発を行うためにCAEを活用する、というのが本質的に謳うべき部分でしょうか。
そうなると、途端に投資効果を算出するのが難しくなります。
CAEで詳細に解析し設計検討が効率よく行えるようになるので試作評価が少なくなり、開発期間が短縮可能になる。
これは王道的な謳い文句ですが、実際のところ「CAEソフトを増やしたら机上の検討項目が増え、結果的に時間短縮にはなかなか繋がらない」というのが実情だったりします。
これは私の周りのCAE仲間からも多く聞きました。
ではどうすればいいでしょうか。
これは私の知り合いからお話を聞いた内容でもあるのですが、「導入しない場合のデメリットを考えれば導入メリットが明確になる」というやり方です。
デメリットを考えたら、意外にもいろいろと出てきます。
・社外への解析委託をしたら開発データや設計思想が社外に出てしまう
・外部依存だといつまで経っても技術者が育たない
・労働時間の8時間以外の16時間がもったいない
などなど。
このやり方は必ずしもコスト試算が出来るものばかりではありませんが、会社にとってのメリットは明示しやすくなります。
この考え方は以前SBD利用技術研究会などでアドバイスいただいたもので、今でも活かせているものです。
同じ悩みを共有できる仲間は本当に貴重です。
お陰で私も少しずつ成長できました。
読者の皆さんも(特にバリバリの解析担当者は)異業種の解析仲間を増やすことをおすすめします。
ぜったい自分のプラスになりますよ。
ということで、今回の私のコラムはこのへんで終了させてもらいます。
読んでいただいてありがとうございましたー!
[ 2025/5/1 from TomTom ]