皆さん、こんにちは。しゅうまつです。
私のコラムも、あっという間に後半に差し掛かってきました。
弊社は9月が半期の締めにあたるため、成果をまとめる時期でもあり、様々な実験に追われる合間を縫っての投稿となります。
今回は、私が長い会社人生の中で、なぜこれほど長くCAEと関わり続けられたのか、その要因についてお話ししたいと思います。
COLUMN
ユーザーコラム
CAEエンジニアの応援歌 最新号「シミュレーションに必要な材料物性は何か?」
ジレンマ
前回のコラムでも触れたように、私はこれまで様々な現象に関するCAEに携わってきました。
ある意味、飽きる前にテーマを変え、異なるCAEに取り組めたことが、継続できた理由のひとつだと思います。
その根底には、私は材料開発者であり、CAEで結果を出すこと自体が目的ではない、という考えがあります。
常に「材料開発に足りない部分を、CAEで補えないか」と模索してきた結果です。
CAEを活用するには、まず実験で起こっている現象を自ら科学的に解釈し、それをCAEで表現できるかを考える必要があります。
しかし、依頼を受けて解析を行う立場の場合は、「CAEを使う真の目的」や「依頼者の本当の困りごと」を把握するのは容易ではないと推測します。
このジレンマは、自らCAEソフトを操作し、実験の背景を理解した上で解析を組み立てることで解消できます。
開発者自身がCAEを扱えることは、最適な解析手法を見つけ出す上で大きな強みだと感じています。
認識合わせ
私も社内で解析依頼を受けたことが何度もありますが、材料系の方が特に気にされるのは、「シミュレーションに必要な材料物性は何か」という点です。
材料開発では、「どの物性を変えれば望む特性を得られるか」を常に考えており、これは当然の姿勢と言えます。
一方で、CAEでは測定した材料物性をそのまま入力できる場合もあれば、別のパラメータに置き換える必要がある場合もあります。
ここで材料知識があると、置換の意図をお互いに理解しやすくなり、解析依頼もスムーズに進むと感じます。
当然ながら、あまりにも細かい指標や条件は、シミュレーション上で扱うのが難しく、どこかで妥協が必要です。
どこを妥協するかは、最初に「解析の目的」を正しく共有できているかどうかで大きく変わってきます。
CAEで結果は得られたものの「結局どう活かすのか分からない」という事態を避けるためにも、この認識合わせは不可欠だと感じています。
主要因の絞り込みが効率的
またCAEのメリットのひとつは、パラメータを自由に変更できる点です。
実験では、ある材料物性を変えるために組成を変更すると、他の物性まで変化してしまうことがよくあります。
このような場合、CAEを活用すれば「どの物性が結果に最も影響するのか」という主要因の絞り込みが効率的に行えます。
これもまた、CAEを使いこなす上での重要なポイントと言えるのではないかと思います。
少しまとまりのない話になってしまいましたので、改めて以下のように整理してみました。
・実験現象の科学的解釈ができる
→実験で得られたデータや観察結果を、自らの材料知識をもとに理論的に整理・理解できるため、CAEモデルに反映しやすい。
・CAEの入力パラメータへの適切な置換が可能
→測定した物性値をそのまま使えない場合でも、材料特性を理解しているため、正しく別パラメータに換算できる。
・物性値の優先順位付け(主要因の絞り込み)ができる
→多くの材料物性の中から、解析結果に特に影響を与える要因を選び出し、効率的なシミュレーションが可能。
・依頼解析を行う場合、依頼者の“本当の困りごと”を理解しやすい
→材料分野の用語や制約を共有できるため、背景や目的のすり合わせがスムーズ。
・実験とCAEの結果を相互に検証できる
→現象再現の精度確認や、実験条件の見直しを自分の判断で行える。
・妥協点を合理的に判断できる
→シミュレーションで扱えない細かな条件や指標について、目的達成に必要なレベルを的確に見極められる。
まとめ
改めて振り返ると、一つの事象に限らず様々な課題を目的とした材料開発と、それをサポートするCAE解析を上記取り組み姿勢に基づき、同時並行で進めてきたことが、私がどちらの活動も長く継続できた最大の理由だと考えています。
次回は最終回です。
これまでの経験の中で、特に苦労した点やうまくいかなかった点をお伝えし、皆さんの気づきや参考になるような話題を共有できればと思います。
[ 2025/09/04 from しゅうまつ ]
Analysis Case
解析事例
Analysis Case
解析事例
解析事例


Case Study
導入事例
-
-
実機評価前に完成させる意気込みで熱設計をつくり込みます。設計者の視点に立ったSimcenter FLOEFDが、その現場で活躍しています。
もっと詳しく -
株式会社パナソニック システムネットワークス開発研究所 様 導入事例
FLOEFDはスピードと再現精度を両立する開発において最高のソフトです。必要な機能が幅広く揃っており、実測評価結果との相関が取れた解析モデルの構築が可能です。
もっと詳しく
Topics
トピックス
イベント・セミナー
シミュレーションに関するイベント・セミナー情報をお届けいたします。
2025年09月04日
2025年07月28日
2025年07月16日
トレーニング
SBD製品各種の操作トレーニングを開催しております。
2022年11月02日
2022年03月04日
2022年03月04日
技術コラム
シミュレーションに関する基礎知識や、製品の技術的なノウハウが満載の技術コラムをお届けいたします。
2025年09月02日
2025年09月02日
2025年08月12日
Topics
トピックス
トピックス


イベント・セミナー
シミュレーションに関するイベント・セミナー情報をお届けいたします。
2025年09月04日
2025年07月28日
2025年07月16日
トレーニング
SBD製品各種の操作トレーニングを開催しております。
2022年11月02日
2022年03月04日
2022年03月04日
技術コラム
シミュレーションに関する基礎知識や、製品の技術的なノウハウが満載の技術コラムをお届けいたします。
2025年09月02日
2025年09月02日
2025年08月12日