進化するモノづくりへの対応
これまで我々CAEエンジニアに求められたのは、高度なCAEソフトウェアの操作スキルと、専門的な解析知識でした。
しかし、企業にCAEが深く浸透し、その活用が当たり前になってきた現在、単にCAEを「使える」だけでなく、他の技術や知見と組み合わせる「掛け算思考」が不可欠になっています。
COLUMN
これまで我々CAEエンジニアに求められたのは、高度なCAEソフトウェアの操作スキルと、専門的な解析知識でした。
しかし、企業にCAEが深く浸透し、その活用が当たり前になってきた現在、単にCAEを「使える」だけでなく、他の技術や知見と組み合わせる「掛け算思考」が不可欠になっています。
掛け算思考とは、単一の専門分野に留まらず、複数の異なる知識、スキル、あるいは技術を積極的に組み合わせることで、新たな価値や解決策を生み出す思考法を指します。
これは、従来の「足し算」のように知識やスキルを単に積み上げるだけではありません。
異なる要素を「掛け合わせる」ことで、相乗効果を生み出し、単体では実現できなかった大きな成果を導き出すことを目指します。
現代のモノづくり現場は、以前とは比較にならないほど複雑化し、要求も高度になっています。
CAEエンジニアの皆さんも、日々の業務でこんな壁に直面しているのではないでしょうか?
•製品開発のスピード競争:
市場の変化は目まぐるしく、数週間で設計変更、数日で評価結果を出すといった、これまでの開発サイクルでは考えられないスピード感が求められています。
アンケートを取ったところ、CAEの結果は依頼から2日以内に欲しいという設計者が大多数でした。
手作業でシミュレーション条件を変更してひとつずつ検討する手法や、最適化に1~2カ月かかるようでは、もはや開発に間に合わなくなってきています。
•「たった数グラム」を削る軽量化の壁:
自動車部品開発を例にとると、従来の機能やや耐久性を犠牲にせず、いかにギリギリまで軽量化・小型化を進めるかというトレードオフの極限に挑む日々です。
CAE単独の知識だけでは、もはや最適な解が見つからない場面が増えています。
材料科学や製造プロセス、コストなど、多角的な視点との融合が求められていると感じます。
•設計初期段階での手戻り削減:
試作回数を減らし、設計の初期段階でいかに品質を担保するかが、コスト削減と開発期間短縮の大きな鍵です。
CAEをこのような目的で導入したにも関わらず、「従来の試作品評価はそのままで、CAEの手間だけ増えている」というような状態になっていないでしょうか?
CAEで得られるデータと、設計・製造部門の知見とのギャップを埋めることは、そう簡単ではありません。
このような現場の厳しい要求や複雑な課題は、単にCAEのスキルを磨くだけでは乗り越えられません。CAEの知識を軸にしながらも、他の技術やビジネス視点を組み合わせる「掛け算」の思考が不可欠になっています。
では、具体的にどのような「掛け算」が考えられるでしょうか?
•CAE × 最適化ツール:
CAEで製品の性能をシミュレーションし、その結果に基づいて設計を最適化することで、より高性能で効率的な製品開発が可能になります。
例えば、応力解析の結果をもとにトポロジー最適化ツールを用いて最適な形状を導き出すことで、強度を保ちつつ大幅な軽量化を実現できます。
•CAE × IoT/MBD:
IoTデバイスから得られる実測データをCAEモデルにフィードバックすることで、より高精度なシミュレーションが可能になります。
また、MBDのアプローチと組み合わせることで、設計段階から製造、運用までを一貫したデジタルツイン環境で管理し、製品ライフサイクル全体の最適化を図ることができます。
•CAE × AI/機械学習:
現在最も注目されているのが、この組み合わせです。
過去の解析データからパターンを学習し、自動で最適な解析条件を設定したり、設計案を生成したりすることが可能になります。
これにより、解析作業の効率化だけでなく、より多様な設計案の検討や、人間では発見しにくい新たな知見の発見にも繋がる可能性があります。
CAEは、もはや単独の技術ではなく、様々な分野と融合することでその価値を最大化するフェーズに入っています。
CAEエンジニアには、自身の専門性を深めつつ、常にアンテナを高く張り、異分野の知識や技術を積極的に取り入れ、それらを掛け合わせる柔軟な思考が求められています。
この「掛け算」の思考こそが、我々の競争力を高め、ひいてはモノづくり全体のイノベーションを加速させる鍵となるでしょう。
あなたの持つ専門性と、どのような要素を掛け合わせることで、新たな価値を生み出すことができるでしょうか?
[ 2025/7/3 from やすい ]
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