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CAEエンジニアの応援歌 vol.9「手段が目的に育つとき」

2025年06月05日

手段が目的に?

こんにちは、はじめまして、HNMです。

15年ぶりにメルマガ執筆依頼をいただきました。異動によりCAEを使うこともなくなった元設計者のことも覚えていてくださり、ありがとうございます。

手段が目的になっていませんか?

社会人生活の中で、一度は耳にしたことあるこの言葉。でも最近、ふと私は思うのです。それって本当に“悪いこと”なのでしょうか?

設計検証のために始めた解析が、だんだん楽しくなってきて、条件を変えていろいろ試したくなる。。。

解析を担当する人であれば、一度ならず経験したことのある感覚だと思いますが、これは、単なる脱線ではなく、「手段が目的に育った」人間らしい現象とも言えると思うので「やらねば」から「やってみたい」へ。

心に余裕がある人間だからこそ、芽生えるこの感情は、効率一辺倒の状況では決して生まれません。

そして、新たな発見や学び、成長は、実はこのような“寄り道”の中から生まれることが多いのではないでしょうか。

あのミギーも言っていました。「心にヒマがある生物、なんとすばらしい!!」と。

「それこそが、人間の最大の取り柄である」と。

でも、目的がブレてしまうのは、やっぱり良くないのでは?非効率なのでは?」と感じる方、それももっともで、正しい感覚だと思います。おそらく、「前提や状況によって意味が変わるだけ」なのかもしれません。

ちなみに、以下のように言い換えてみると、どう感じるでしょうか?

解析という手段を繰り返すうちに、新しい興味や価値、問いに出会い、“元の目的とは異なる、新しい目的”が生まれただけなのだ」と。

前回のコラムで、KAJITAさんは「解析が目的になっていますが」と書かれていましたが、私には「OBとしての目的に変わっただけ」に思えました。というか、100歳で解析だなんて、素敵すぎます!


CAEとKKD

近年、CAEはもちろん、AIの進化も目覚ましいものがあります。

でも、これらのツールは、あらかじめ設定された目的や定義から逸脱することはありません。

しかし、人間には“はみ出す力”があります。そして私たち技術者には、日々蓄積してきたKKD(勘・経験・度胸)という武器もあるのです。

CAEでKKDからの脱却」というフレーズは、CAE推進者さんの常套句ですが、“CAEをツールとして使う側”としては、それを鵜呑みにしてはいけません。

CAEは客観的な数値を示してくれる強力なツールですが、解析結果をそのまま信じてしまうのは本末転倒です。

むしろ、解析と実験結果がピタリと一致したときこそ、真っ先に疑うべきです。

その解析結果に、矛盾や違和感はありませんか?もし「なんかおかしい」と感じたのなら、それはあなたのKKDが正しく働いた証拠かもしれません。

違和感を見逃さず、自分を信じて原因を探る、それこそが技術者の強みだと思います。

・・・と、やや精神論めいた話になってしまいましたが、気付けば締め切り当日。

催促がくる前に、永遠の課題である“誤差”について、元設計者の立場からも一石を投じさせていただき、場をかき回して終わりたいと思います。(苦笑)


解析と実験の誤差

設計者の立場では、解析と実験の誤差は、“あってよい”と考えています。もちろん、いくつかの条件はあります。例えば、


(1) 解析も実験も、いつもと同じ標準的な条件で、適切に実施されていること。

(2) 設計仕様に対して、実機の実測寸法などが正確に把握されていること。

(3) 過去の類似製品の誤差情報が分析されており、経験則が見えていること。

(4) その上で、解析と実験の差異が事予想された方向であり、かつ許容範囲内であること。


(1) および (2) は当然の前提(とはいえ、簡単ではありません)ですが、重要なのは (3)から(4)の流れだと思っています。

15年ほど前、非線形特性を有する部品を含む、流体-構造連成解析の案件を担当したことがありました。

その際は、流体解析と、手計算(表計算ソフト)を何度かFBループさせるという“手動連携”と、「流体解析の結果の方が、やや大きくなる」という経験則を組み合わせることで、設計検証としては必要十分な信頼性が得られました。

こうした、「教科書には載せられないけれど、自社製品では有効な補正係数」みたいな経験則こそが、KKDの集大成だと思うのです。

さて、話があちこちに飛んでしまいましたが、、、

目的に縛られすぎたり、最大効率を追求する状況は、とても息苦しいものです。

もし今回のコラムを通じて、「たまには寄り道してもいいんだ」と、少しでも心が軽くなったのなら、とても嬉しく思います。(と言っても、寄り道も“ほどほど”が肝心ですよ)

次回は、各種講演会でもおなじみの方が登場されると聞いています。

私のような元設計者の視点とは異なる、皆さんの実務に直結する、より深いお話が聞けることでしょう。

P.S.

今回のありがたい依頼の対価として、15年前のメルマガで、私が書いた8回分のコラムをいただきました。

こんなこと書いていたんだーと、純粋に面白かったです。

ちゃんとデータを残してくださっていたKKEさんと、昔の自分と再会する機会をくださったKamachiさん、Mt.Fujiさんを始めとする研究会の中心メンバさん、ありがとうございました。

             [ 2025/6/5 from HNM ]

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