【構造最適化】メッシュ改善事例　vol.1　軸受ユニット

2020年12月03日

形状最適化後のメッシュ改善

前々回(11/5配信分)の軸受けユニットの軽量最適化事例を覚えていらっしゃるでしょうか。


(a) 等角投影図	(b) 平面図

Fig.1 HiramekiWorks で計算した形状最適化の結果（コンターはメッシュの変動量）

Fig.1 は HiramekiWorks で計算した形状最適化の結果です。
メッシュがドラスティックに変形し、剛性を維持したまま30%もの質量削減に成功したこの事例ですが、実はこのままでは設計データとして利用しづらい部分も残っています。

Fig.2 をご覧ください。
これは形状最適化後の曲面データからソリッドデータに自動変換して得られた結果です。
Fig.2 (a) の中央円筒内部は辛うじて円筒面を保持していますが、その他の部分では細かな曲面が継ぎ接ぎされたような形状となっています。

特に、Fig.2 (b) の外周部の固定面内部は円筒面として認識されておりません。
ソリッドデータを手作業で修正するのは多くの時間と労力を要します。
従って、最適化シミュレーションを設計に活用する際には、形状データを編集する手段を有していることが不可欠といっても過言ではありません。

今回はメッシュ改善として特に欠かせない、3つの機能についてご紹介します。


(a) 中央円筒部	(b) 外周円筒部

Fig.2 形状最適化後に自動生成されたソリッドデータの拡大図

スムージング機能

スムージングはその名の通り、ギザギザとした表面を滑らかな形状に編集する機能です。
メッシュを大幅に動かしてしまうと、Fig.2 のような粗い表面形状となってしまい、そのままでは製造にデータを利用することができません。

Fig.3 はスムージング処理前後における表面形状の比較結果を示しています。スムージング機能により、滑らかな表面形状が得られることで、形状最適化によって得られた新たな形状を、製造現場でも使いやすいソリッドデータに編集することが可能です。


(a) スムージング処理前	(b) スムージング処理後

Fig.3 スムージング処理前後でのメッシュ形状の比較

直線・円弧への変換機能

こちらも読んで字のごとく、曲面データ上のメッシュの境界部分（以下、折り目）を直線や円弧に変換する機能です。
Fig.4 および Fig.5 は、それぞれ、直線、円弧への変換前後での折り目を示しています。
これだけでは効果がわかりにくいのですが、直線や円弧に修正することで、次節で紹介する解析平面や解析曲面へのフィッティングが可能となります。


(a) 変換前	(b) 変換後

Fig.4 折り目の直線への変換(オレンジの折り目が対象)


(a) 変換前	(b) 変換後

Fig.5 折り目の円弧への変換(オレンジの折り目が対象)

解析平面・曲面への変換機能

解析平面や解析曲面は、平面、円筒面、円錐面といった、関数で記述可能な面を指します。

例えば、Fig.2 (a) に示す中央円筒部の外側の面は、複数の曲面が継ぎ接ぎされた状態になっており、一つの円筒面として認識されていません。
この複雑な形状のままでは、設計に用いるのに不都合なため、先に示した円弧の折り目を用いて円錐面に編集します。
同一軸上に中心がある円弧の折り目を用いれば円錐面は関数で記述できるため、Fig.6 に示すように滑らかな形状に編集できます。
また、Fig.7 に示すように、折り目に囲まれた領域であれば、外周円筒部の上面をY軸に垂直な平面に変換することも可能です。


(a) 変換前	(b) 変換後

Fig.6 折り目で囲まれた領域の円錐面への変換


(a) 変換前	(b) 変換後

Fig.7 折り目で囲まれた領域の平面への変換

まとめ

今回は HiramekiWorks に搭載されたジオメトリエディターを用いて、形状最適化後のメッシュ形状の改善事例をご紹介しました。
上記のようなスムージング、折り目の直線・円弧への変換、折り目に囲まれた領域の解析平面・曲面への変換は、手作業で行うには多大な時間と労力を要します。
こうした修正ツールは、工数削減の観点から、『設計改善プロセスの最適化』には欠かせないものだと言えます。

次回予告

次回は、剛性を維持したまま質量を最小化する別の事例をご紹介します。

[From K.Takabatake]

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