ものを作る際には、製品の使用環境において破損せず安全に製品の機能を満たしていくように設計を行う必要があります。
そのためには、製品の強度を評価していく必要があります。
これから、数回に亘って、製品設計/強度評価に関する技術コラムを掲載していきたいと思います。
COLUMN
技術コラム
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【構造】製品設計/強度設計の基本講座シリーズ vol.1 材料が壊れるとは
材料が壊れるとは
物質は、原子、分子、結晶格子という構造からできています。
材料が形を成しているのは、原子間引力により原子同士がある距離で安定的に釣り合っているためです。
破壊するとは、その原子間力を超える外力により、最終的に原子が分離してしまう現象です。
原子が分離し、新しい界面が形成されますので、その理論的な材料強度を計算で求めることができます。
では、その理論的な材料強度で、製品の強度設計ができるのでしょうか。実は、材料試験等で得られる実際の材料強度は、理論強度の1/00~1/10000程度と言われています。
材料強度は欠陥で決まる
実際の工業材料の破壊のメカニズムとしては転移現象と言われています。
実際の材料構造の中には、原子レベル、結晶レベルにおいて様々な欠陥や空洞が含まれています。
その欠陥が起点となり、原子間のすべりが容易に起こる現象です。
破断面全体を一度に引き剥がすには大きな力が必要ですが、欠陥を起点に原子間に一対毎のすべりが起きて、それが時間差で破断面全体に伝播していく状況を想定すると、はるかに少ない力で破壊が起きます。
その最小の力が、実際の材料の強度を決めているのです。
設計者が興味のあること
強度評価をする際には、マクロの強度を評価せざるを得ません。
材料試験から得られる強度もマクロのものですから、問題ないように思いますが、実際の製品は複雑な形をしており、マクロ的な形状欠陥(切り欠きや、穴、角部など)を含んでいるといえます。
そのような場合の強度評価指標として「応力」というものが使われます。
次回以降、この「応力」について掘り下げてみます。
[From N. Sahashi]
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