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配線パターンを考慮した電子機器の熱解析

画像:Simcenter FLOEFD EDA bridgeオプション

多層基板に実装される電子部品の発熱量は、9割が基板の配線パターンを経由して逃げると言われています。そのため、発熱体の正確な温度予測には、配線パターンを考慮した熱流体解析が欠かせません。Simcenter FLOEFDではEDA bridgeオプションを使用することで、電気CADのデータから電子部品ごとの形状と材料情報、層ごとの配線パターン等の情報をインポートし、熱解析に使用することが可能です。今回はEDA bridgeオプションを使用して、配線パターンを考慮した基板の温度分布を解析した事例をご紹介いたします。


EDA bridge 基板のモデリングレベル

EDA bridgeでは基板のモデリングレベルを以下の3種類から選択することが可能です。

画像:EDA bridge 基板のモデリングレベル コンパクトモデル

■ コンパクトモデル
基板全体を単一の部品で表現するモデルです。
異方性の熱伝導率の材料が割り当てられます。

画像:EDA bridge 基板のモデリングレベル 詳細モデル

■ 詳細モデル
基板の層ごとに別のソリッドで表現するモデルです。
層ごとに等価な熱伝導率の材料が割り当てられます。
配線パターンを3次元でモデル化することもできます。

画像:EDA bridge 基板のモデリングレベル 材料マップ

■ 材料マップ
「スマートPCB」としてFLOEFDへ転送されます。
基板の層ごとに別のソリッドで表現するモデルです。
基板を面分割した等価な熱伝導率でモデル化できます。

詳細モデルでは、基板の配線パターンを3次元モデル化し、解析を実施することも可能です。しかし配線パターンの3次元モデル化は計算メッシュ数が膨大になり、実用が困難です。そこで、Smart PCB(材料マップ)を使用することで、基板を面分割し、ネットワークアセンブリとしてモデル化します。この機能を使用することで、配線パターンを考慮した解析を、計算負荷を低減しつつ高精度に実施することが可能になります。今回の解析事例ではSmart PCBで基板のモデル化を行います。

解析条件

● モデル形状
図1にモデルの外観を示します。基板や素子を見やすくするために、ケースは半透明として表示しています。筐体内のグレーの基板部分にEDA bridgeで読み込んだ図2の基板をアセンブリします。


図1:モデルの外観



図2:インポートする基板データ


● 熱源の設定
熱源の設定では、種々の素子に、図3で示す発熱量を設定しました。2抵抗コンポ―ネントモデルも使用可能です。


図3:熱源の設定


● Smart PCBの設定
Smart PCBの面分割の詳細度は以下の図4の通りです。基板の長辺方向を300分割する詳細度で計算を実施しています。面分割した各要素には銅線の含有率から計算された等価な熱伝導率が割り当てられます。


図4:面分割 詳細度


● その他解析条件

解析結果

図5に、基板表面の固体温度コンターを示します。


図5:基板表面 固体温度のコンター


Smart PCBでは基板の各層の温度分布を表示することが可能です。
図6:plane_4層, dielectric_5層の温度分布



図7:各コンポーネント 固体温度


● コンパクトモデルとの比較
コンパクトモデルは基板全体を単一の部品で表現するモデルです。異方性の熱伝導率を持った一つの固体材料を割り当てます。同一のモデルを使用し、基板のモデリングレベルのみを変更し、コンパクトモデルとSmart PCBの結果を比較しました。


図8:コンパクトモデル温度分布(左)とSmart PCB温度分布(右)の比較


画像:素子温度の数値表

コンパクトモデルとSmart PCBモデルでは素子温度、及び基板の温度分布において異なる結果が得られることが分かりました。とりわけ素子U2の温度とその周辺の温度分布に顕著な差が出ることが確認できました。配線パターンを考慮しているSmart PCBではより現実に近い温度分布が得られていると考えられます。


● 詳細モデルとの比較
同様のモデル(簡単のため素子は1つのみ)を使用し、詳細モデル、Smart PCB、コンパクトモデルで計算を行い、比較した結果を示します。

画像:詳細モデル、Smart PCB、コンパクトモデルで計算を行い、比較した結果
画像:詳細モデル、Smart PCB、コンパクトモデルで計算を行い、比較した結果の数値表

Smart PCBでは1/10の計算時間で詳細モデル使用時と同等の温度分布、チップ温度を得ることができました。

まとめ

今回はEDA bridgeオプションを使用して配線パターンを考慮した基板の温度分布を解析した事例をご紹介いたしました。基板を含む電子機器の解析では、コンパクトモデル(単一のブロック)で解析を実施するケースが多いですが、より正確な素子温度の把握には配線パターンの考慮が欠かせません。Smart PCBでは、詳細モデルに近い素子温度と温度分布が得られることが分かりました。詳細なモデル化ではセル数、計算時間が膨大になることがありますが、Smart PCBでは、計算負荷を低減しつつ高精度に実施することが可能になります。



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備考

流体 空気
解析タイプ 外部流れ、定常解析
考慮する物理特性 固体の熱伝導、自然対流、ふく射(放射率:0.8)
セル数 熱流体:150,000セル
Smart PCB:650,000ノード
使用ソフト Simcenter FLOEFD
オプション EDA bridge モジュール
計算時間 22分
CPU Intel(R) Xeon(R) Platinum 8260 CPU @ 2.40GHz
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